「玉座…?」


暫く歩いていくと行き止まりに着いた

そこには、1つの玉座がポツンとあるだけだった


「ようこそ…。ここが我々の中枢だ」


ニアタの声が響いた


「さて、グラニデのディセンダー。そなたが存在すると言う事はこの世界で何かあったのではないかね?」


ニアタはフィオ達では無く、エリーに話し掛けた

フィオ達も聞きたい事はあったが、今は仕方ない

エリーは世界に溢れている負の事をニアタに話した


「残念だが、“負”を消す事は出来ない」


エリーの話を聞いたニアタは、残念そうな声でそう言った


「やはり、世界樹でなければ、負を無に還す事が出来ないのね」

「“無”かね? 本当に“無”というものは無い。世界樹が負を無に還すなどとは考えられぬ」


リフィルの呟きを否定するようにニアタは言った


「しかし、世界樹の傷の回復を促進させる事は叶えられよう」

「その方法を私達に教えてもらえないかしら」


リフィルは説得するように言う
ニアタは暫く沈黙した後、この世界を覗かせて欲しいと言った

フィオ達にはその意味が分からなかったが、ニアタを待つしかなかった


「リフィルとやら。今から、必要な事をそなたの記憶に転写する。そして、その通りにするがいい」


ニアタがそう言うとリフィルを包むような光が現れた


「何、今の…? まるで頭の中に何かを書き込まれたみたい」


リフィルは何が起きたのか分からず、瞬きしていた


「ニアタ、今のが世界樹を回復させる為に“必要な事”なのね」

「………」


落ち着いたリフィルがニアタに確認するように聞くが、ニアタからの返事は無かった


「ニアタ…?」


心配になったエリーが名前を呼んだ


「急に…力を使って…回路…が、…一部……した…ようだ…」


弱々しいニアタの声が聞こえた

それにフィオとモルモは焦る


「待ってよ、ニアタ。僕たちはまだ聞きたい事が…」

「カノンノを…頼ん…だぞ…。……ディセ…」


ニアタの声が聞こえなくなると、ニアタ・モナド全体が光を失ったように暗くなった


「…一旦戻りましょう」

「そうですね」

「………」

「話は帰ってからね」


無言のフィオとモルモ、カノンノをエリーとリフィルは何も言わずに連れて帰った




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