「見た事もないテクノロジーだわ」
建造物の中に入ったフィオ達は、中身に驚いた
明らかにこの世界とは雰囲気が違っている
「…似てる」
「フィオ?」
フィオの呟きにエリーが反応した
リフィルとカノンノは少し離れた所で話をしている
「何でも無い。早く此処を調べよう」
フィオは誤魔化すとカノンノ達に近付いた
モルモとエリーが顔を見合わせた事に気が付かなかった
「6000年ぶりの訪問者だな」
暫く歩いていると、突然声が聞こえた
フィオ達は辺りを見回すが、フィオ達以外の人の姿は無い
「誰なの?」
リフィルは見えない相手に尋ねる
「我々はニアタ・モナド。ディセンダーの………カノンノ…? その姿は我等がディセンダー…」
声の主─ニアタは、カノンノに驚いたようだった
しかし、それ以上にエリー達は驚く
「何ですって?」
「カノンノがディセンダー…?」
「………」
エリーやリフィルとは違い、フィオとモルモは別の意味で驚いていた
「し、知らない。私…、何も知らない!」
カノンノは頭を抱える
エリーは素早くカノンノに駆け寄った
「しかし、我等の世界“パスカ”は寿命を迎えた筈……」
「パスカが寿命を迎えた!? どういう事なんだ!」
フィオは声の言葉に引っ掛かりを覚え尋ねる
パスカは生まれ変わったばかり
その筈なのだから
「そうだよ。パスカが寿命を迎えたなら、オイラの世界は? ヤウンはどうなってるんだよ!」
モルモも声を上げる
リフィルは状況が分かっていないものの、落ち着くように促す
「…そうか。そなたらを見た事があると思えば、恐れを知らぬテレジアのディセンダーか。そなたには感謝している。我等が故郷を救ってくれた事を」
「…僕は、ただ自分の世界を守りたかっただけ」
フィオは首を横に振りながら言った
「それでも、感謝している。我等がディセンダーの変わるきっかけをくれたのだから」
「ねぇ、オイラの質問に答えてよ。ヤウンはどうなったの? テレジアは?」
モルモは姿の見えないニアタに怒りながら言う
「恐らく、寿命を迎えているだろう。そなたらと会ったのは、遠い昔の事だ」
「遠い昔って…僕たちはついこの前までテレジアに居たんだ。そんな筈……」
フィオはそこで言葉を切った
先日セルシウスが言っていた事を思い出した
グラニデだけでは解決できない問題
“彼”が居るから
そして、グラニデに来てから感じていた、違和感あるマナ
フィオの中で、1つに繋がったような気がした
「話の途中で悪いんだけれど」
リフィルがタイミングを見計らって割り込んだ
「ニアタ…でいいのよね。貴方はカノンノがディセンダーと言ったけど、それはどういう事なのかしら?」
「…厳密には我々のディセンダーではない。だが、我等がディセンダーの因子を継いでいる。来るがいい、我等がディセンダーの玉座まで」
ニアタの声はそれ以降聞こえなくなった
フィオ達は仕方なく玉座を目指す事にした
「聞いてもいいかしら」
歩いているとリフィルがふいにそう尋ねた
フィオはリフィルが何を聞きたいのか、何となく予想出来た
「貴方はニアタを知っていたの? それに、ディセンダーというのは本当なの?」
「…ディセンダーっていうのは本当だよ。僕もモルモも。ニアタとは、前に会った事があるんだ。このニアタ・モナドのような建造物の中で」
ニアタの話を聞いて思い出した。ニアタと会った魔回廊を
あの時もリフィルに頼まれて行った
「フィオの世界にもこんな建造物があったの?」
カノンノの隣を歩いていたエリーが尋ねる
「うん。そこは魔回廊って呼ばれてた」
「へぇ、そうなんだ」
フィオは魔回廊を思い出す
ニアタ・モナドと似たような雰囲気
そこに居たニアタ
聞きたい事は沢山ある
フィオは自然と歩く速度を早めた