“彼”が蘇った

フィオはそれをモルモに言えずにいた


「フィオ、大丈夫?」


粘菌の巣から帰って来て2日経つが、フィオは沈んだ表情のままだった


「…モルモ」

「何?」

「………」


こんなやりとりをずっと続けていた

モルモに言わなきゃいけない
そう思いつつも、まだ言えずにいた


「そんなに世界樹を守れなかった事を気にしてるの?」


モルモは帰って来たフィオ達、世界樹を守れなかった事を聞かされた

それを悔やんでいるのだと思われている


「…あれは不可抗力だよ」


確かにあれは事故だった
それはモルモも分かっているつもりだった

けれど、フィオが落ち込む理由はそれではない事をモルモは知らない


「はい?」


そんな2人の空気を破るように、ドアがノックされた

フィオが返事をすると、エリーが入って来る


「今日はもう大丈夫?」


毎日様子を見に来てくれるエリーに、フィオは苦笑いで返した


「…気分転換に家事手伝ってくれない?」

「え?」

「昨日、フィオの当番だったでしょ?だから、今日と代わって貰ったの」


フィオの了承を得ないまま、エリーはフィオの腕を取り部屋を後にした

何処へ行くのかと聞けばエリーは甲板と告げた


「………」


甲板に用意されていたのは洗濯物

フィオは男性用のカゴに手を伸ばす
人数が増えた為、洗濯物の量も凄いのだ


「今日はいい天気だね」

「…うん」


エリーの言葉にフィオは変わらず空返事だった


「まだ気にしてるの?」

「………」


世界樹の事だろうと思ったが、フィオは何も言わなかった

言えない、のが正しい


「アドリビトムというギルドはここか! アーハン?」


フィオとエリーは、聞こえた声の方を向いた

そこには1人で来たジャニスの姿があった


「ジャニス…」

「何をしに来たんですか?」


エリーがジャニスを警戒して言ったが、ジャニスはいつも通りだった


「ラルヴァを解明したサイエンティストとトークしに来たのだ」

「………」


フィオとエリーは顔を見合わせた


「会わせても大丈夫かな?」

「大丈夫…だと思うけど」


小声で相談し、科学部屋に通す事を決めた




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