「見失ったか」
“何か”を追い掛けていたフィオだったが、既に見失っていた
少し開けた場所で見回すが“何か”を見つける事が出来なかった
「…戻らなきゃな」
勝手な行動をしてしまった。急いで戻らなければならない
フィオが来た道を戻ろうとした瞬間、人の声が聞こえた
「久しいな…」
忘れる事の出来ない声にフィオは辺りを見回した
草むらからその人物は現れる
「…やっぱりお前だったのか」
フィオはゆっくりとその人物を見た
違うと思いたかった。けれど、こうして対面すると嫌でも思ってしまう
あの光景がこの世界でも起きてしまうのか、と
「貴様と会える時を楽しみにしていたぞ?」
“彼”は妖しい笑みを浮かべる
フィオは“彼”をジッと見つめたまま、静かに話を続ける
「僕としては会いたくなかった。だけど、サンゴの森でアレを見てからはお前が居るんじゃないかってってずっと思っていた」
2人は距離を保ったまま会話を続ける
“彼”は表情を崩さずそして動かない
「もう会ったのか。我がギルガリムに」
「知っていたんじゃないのか?」
「貴様の手によって消されたが」
「ギルガリムの消去は、僕にしか出来ない」
「だから、昔より強いギルガリムが生まれたのだ」
その言葉にフィオは思い出す
あの時のとてつもない疲労感。今まで感じた事がなかった、あの感じを
「…もう一度、お前を倒す!」
フィオは剣を抜くと斬りかかった
これ以上被害を増やさないよう“彼”を倒す為に
「貴様と戦える程、私には力が戻っていない」
“彼”が手をかざすとフィオの目の前にギルガリムが現れる
主を守るように
堅くその場に留まる
「次に会う時は貴様の最後になるだろう」
「待て!」
フィオの言葉を無視し、その人物は姿を消した
「待てよ、ウィダーシン!」
フィオは名前を叫ぶが、もう遅かった