ロゼット村から難民が保護された

ラルヴァが普及し始め、マナによる生活を守ろうとする人々は非難され村を追われたのだと言う

ロゼット村のギルドに所属していた人たちがアドリビトムのメンバーとなった


「此処がアメールの洞窟か」


茶髪の青年─クレスはポツリと呟いた

ロゼット村から来た情報収集を得意とする少女─すずにより、ラルヴァを生み出した科学者─ジャニス・カーンの研究所がナディの標的になった事を知った

ジェイドやリフィルがジャニスの研究資料が欲しいと言い出した為に、エリーはクレスと彼の親友─チェスターとカノンノとでアメールの洞窟に来ていた

以前ルークを探した時とは違う場所を進む。恐らく、別ルートで探していたリッド達とも違う道だろうと思う


「ラルヴァ派とマナ派によって各地で争いが起きているらしいね」


クレスは新聞に載っていたと続ける


「ロゼット村と同じような事があちこちで起こっているなんて…」

「悲しい事だよね」


クレスに同意するようにカノンノが呟いた


「おい、魔物だぞ!」


チェスターが声を上げる
エリー達がそちらを見るとコパンとチューパンが近付いてくる

カノンノとクレスは剣を抜き、エリーとチェスターは少し後ろに下がった


「旋桜花!」

「秋沙雨!」


カノンノとクレスがコパンへ攻撃する

その隙にチューパンが詠唱を始めた


「紅蓮!」

「ネガティブゲイト!」


チェスターがそれを止める。そこに丁度エリーの術が発動し、チューパンを倒した

コパンを倒したらしいカノンノとクレスが戻って来る


「それほど強い魔物じゃなくて良かったね」

「そうだね」


エリーとカノンノは互いを見て笑い合った


「2人とも行くよ」


チェスターと話していたクレスがエリー達を促す
エリー達はそれに従って歩き始めた



「ここがジャニスの研究所…?」


洞窟の中に少し開けた場所があった
そこには机や資料、よく分からない機械が置いてある


「誰もいないみたいだね」


カノンノが辺りを見回すが人の気配はしない


「……?」


ふと数人の足音が聞こえた
もしかするとナディかもしれない

エリー達は岩陰に隠れた


「ここが奴のアジトか」

「奴は…いないのか!?」


深緑のフードを被った三人組が走って来る
辺りを見回した1人が声を上げた


「あの人たち、誰なんだろう」

「…あいつらナディだ!」


チェスターが見覚えのある彼らを思い出して言った

エリーとカノンノは彼らがテロ集団なのだと驚きながら見ていた


「仕方ない。ラルヴァについての資料を集めろ。焼き払うんだ」


ナディの1人が指示をする
他の2人は机や地面に散らばった資料を集め始めた


「まずい! 資料を奪われたらお終いだ」

「仕方ない。踏み込むか」


クレスとチェスターが飛び出した。エリーとカノンノはそれに続く


「お前達、ナディだな」

「ほう、我々を知っているとは……貴様ら、ジャニスの手下か?」

「違う。僕達はギルドの者だ」

「ふん、ギルドの者など用は無い。さっさと去れ!」


チェスターとクレスが説得しようとするが、ナディの3人は聞く耳を持たない


「そういう訳には行かないんです」

「私たちはただ資料が欲しいの」


エリーとカノンノも説得しようとする


「まさか、おまえらはラルヴァを手に入れる為に来たんじゃないだろうな」

「ラルヴァをこれ以上作らせてたまるか」

「ラルヴァなどあってはならないのだ。既に軍事に利用しようと動いている国もある」

「このラルヴァを強く浴びて体調の異変を訴える者だっているんだ」


ナディの3人はエリー達の話を聞かずに勝手に話し続けた。チェスターは大きく溜め息を吐く


「ラルヴァなんか興味ねえが、おまえ達のやり方も気に食わねぇ。とにかくその資料を手に入れるのが俺達の仕事だからな」


チェスターは言いながら一歩前に出た。それにクレスも続く

チェスターが何をしようとしているのか、分かっているようだ


「そうか。ならば、始末するまでだ!」


ナディの1人が指笛を吹く。するとネガティブファングが4体現れた


「仕方無い。皆行くよ」


クレスがネガティブファングに走って行く。カノンノもそれに続き、チェスターは弓を引いた


「フィールドバリアー!」


エリーの術が発動する。ネガティブファングの攻撃から3人を守る為に


「獅子戦吼!」

「凍牙!」


クレスとチェスターが各々一体を倒す


「きゃあ!」

「カノンノ!」


カノンノの悲鳴にチェスターがそちらを見る

2体のネガティブファングに囲まれている


「ヒール!」

「震天!」


エリーがカノンノに回復魔法を使う。その隙にチェスターがまた一体倒す

クレスの方を見ればもう最後の一体を倒していた


「くっ…、ここはひとまず引いてやる」


全てのネガティブファングが倒されると、ナディの3人は逃げるように去って行った


「早く資料を書き写そう」


クレスの言葉にエリーとカノンノは机に駆け寄る


「このまま持っていけばいいじゃねぇか」

「そういう訳にはいかないんじゃないかな」


文句を言うチェスターにカノンノは書き写しながら言い返した

盗むという行為はしたくない。エリーもそう思っていた


「何書いてるか全く分からないけど、リフィルさん達が解読してくれるよね」

「ああ、きっと」


全ての資料を書き写すとエリー達は船へと戻った。リフィルやジェイドにラルヴァの資料を届ける為に




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