「大丈夫、フィオ?」
船に戻って来たフィオは、実験の話はリフィルに任せ、部屋で休むよう言われた
買い物から戻っていたモルモは心配そうに周りを飛んでいる
「うん、もう大丈夫」
フィオの笑顔にモルモは無理をしていると感じた
「で、何があったの?」
「分からない。山が消えた瞬間、全身に力が入らなくなって…。まるで、あの時のように」
あの時
それはフィオが自分の世界に居たときに体験したもの
世界樹が弱まっているにも関わらず、力を使った、あの時
「オイラもさ、買い物してる時に力入らなくなったんだ」
モルモの言葉にフィオは目を丸くした
「本当?」
「うん。同時にエリーも倒れてさ」
「そんな…。じゃあやっぱり原因は……」
フィオの言葉を遮るようにドアがノックされた
「はい?」
フィオがドアを開けると、ジーニアスと少女達が居た
「どうしたの、ジーニアス?」
「フィオの様子を見に来たんだ。あと、ちゃんと挨拶してなかった皆を連れてきたんだ」
ジーニアスは後ろにいた人達に挨拶するように言った
茶髪の青年─ロイド、金髪の少女─コレット、赤髪の青年─ゼロス、ピンク髪の少女─プレセア、鷲色の髪の男性─クラトス
性格が表れるような自己紹介をしてくれた
「それじゃ、ボク達は部屋に戻るね」
「今度出掛ける時は声を掛けてくれよな」
ジーニアスとロイドがそう言って部屋を後にした。それに続くようにコレット達も帰って行く
「…複雑だね」
「知ってるのに知らない人、か。うっかり口にしそうだよ」
一番世話になった街に居た皆
物凄く複雑だ
「いつか話すの?」
「さあ、まだ分からないよ」
フィオは部屋を出た
モルモは何処に行くの、と肩に乗った
「エリーの所だよ」
様子を見に行くんだ、と小さく付け足すとエリーの部屋へ向かった
倒れた原因が何となく分かるフィオ達だから、エリーが心配だった