ある晴れた日の午後3時。いつもならにこにこしながらお茶に誘ってくる恋人の玲が来ないことに不安を感じ、探しに出掛ければ中庭のベンチで本を開いたまま眠っている彼女を見つけた。仕事ではレイムさん並みに頼りになり、日常の中では心の支えとなってくれている彼女。日ごろの疲れが溜まっていたのだろう。ベンチの空いているスペースに座り、そっと彼女の顔にかかっている髪をよける。さらさらと流れるはちみつ色の髪。ただ、綺麗だと思った。

「まったく、こんなところで無防備に寝ていて、何かあっても知りませんヨ。私だったから良かったものの・・・」

私は苦笑しながら、彼女の唇に己の唇をそっと合わせる。


眠り姫に王子の口づけを


どうか彼女に安らかなひと時を。