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 恋のタメイキ


『2号くん、おひさしぶりだね!元気だった?』


僕の視線の先には2号を抱き上げて頬を寄せる白川さん。

そして、


「黒子、これは態となのか?」


僕の隣へと視線を移せばイライラしているのが面白いほどよく分かる緑間くん。

どうやら僕と2号は、知らぬ間にふたりのデートの邪魔をしてしまっていたらしい。


「態とじゃないですよ。

僕もまさか2号との散歩中にふたりに会うなんて思ってませんでした」


散歩の途中で急に2号が走り出すものだから、何事かと思ってついて行けば緑間くんと白川さんがいたのだ。

たぶん2号は白川さんの香りに反応したのだろう。

2号はいつも可愛がってくれる白川さんに懐いているようでしたし。


夏休みで会えなくて二号も寂しかったのだろうと考えていると、緑間くんからはやく2号をどうにかしろと言わんばかりの視線を送られていることに気がついた。


緑間くんは本当に白川さんのことになると人が変わりますね。


「そんなに睨まないでください」

「睨んでないのだよ」

「...はぁ。白川さんに抱っこされてる2号にやきもちですか?緑間くん」

「なっ!?違うのだよ。犬に嫉妬などしていないのだよ」


完全に嫉妬してるじゃないですか


緑間くんが顔を紅くして必死に答えたのを見て僕は心の中でそう思った。

あの緑間くんがとうとう2号にまで嫉妬するようになるとは。

秀徳の高尾くんあたりに情報提供したい感じですね。


永遠と続く緑間くんの謎の弁解の言葉を適当に受け流しながら

ふと僕は白川さんと2号のほうを見る。



先ほどと変わらず、2号を抱き上げて近距離で見つめあっている白川さんの姿。


見ているとすごく癒されますね


そんなことを思いながら眺めていると

緑間くんは僕が話を聞いていないことにようやく気がついたようで

話をやめて僕と同じ方向を見た。


そのときだった。

まるで、緑間くんに見せつけるかのように2号が白川さんの唇を舐めたのは。


「...」

『ふふ。2号くん、くすぐったいよ』


僕の視線の先には天使のような笑みを浮かべる白川さん。

隣には下を向いて小さく震えている緑間くん。


恐らく2号の行動が緑間くんの許容範囲を完全に超えたのだろう。

僕は緑間くんが白川さんの元へ近づいていくのを静かに見守る。



白川さんは緑間くんに腕を引かれて立ち上がると

緑間くんと向かい合わせになる。


向かい合わせになったところまでは僕の立っている位置から確認できたのですが、それ以降は緑間くんが僕の方に背中を向けて立っていたのでふたりの間でどんなやり取りが行われていたのかは分かりません。


(なんとなく、緑間くんが屈んだあたりから予想はつきますが...)


心の中で苦笑していると足元から小さく聞こえた鳴き声によって現実に引き戻される。


足元にはいつの間に白川さんの手から抜け出して来たのか2号がいて

僕のまわりを楽しそうにぐるぐると歩き回っていた。


2号の様子からすると白川さんに構ってもらえて満足しているらしい。


「さて、邪魔者は退散するとしましょうか」


2号を抱き上げると

僕と2号は静かにその場を後にした。




のタメイキ




『み、緑間くん。ここ、公園!』

「消毒するのに場所など関係ないのだよ」

『もしかして、2号くんに嫉妬?』

「...違うのだよ」


2013.9.11
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澪さん、リクエストありがとうございました!
今回、2号に嫉妬する緑間くんということで挑戦してみたのですが
いかがでしたでしょうか?
頂いたリクエストにお応えできた内容になっていればいいな...と願っています。
相変わらずの稚拙な文章で申し訳ないです。(;´∞`)
素敵なリクエストをありがとうございました!

藤堂
*作業BGM:【サリシノハラ/りぶ】