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 喧嘩したっていいじゃないか

『なんで!?どうしてダメなの!?』

「何が何でもダメだ」




わたしと狡噛さんは自分たちのデスクから

宜野座さんと結さんのやり取りを最初から固唾を飲んで見守っていた。





ふたりがこんな喧嘩をするのを初めて見た気がする。

狡噛さんは、またかといった感じで呆れている。






ふたりの喧嘩の原因は、今週末にあるという結さんの同期仲間でやる食事会だ。

結さんは参加したいのに、宜野座さんが許可してくれないらしい。

食事会や飲み会がある度に宜野座さんに許可をもらうなんて

真面目な結さんらしいなと思う。



それにしても宜野座さんなら食事会くらい、すぐに了承しそうなんですけどね。

チラチラと狡噛さんとアイコンタクトをとってみるが、

これは狡噛さんでも分からないらしい。



そんなことをわたしたちがしていると





『もう、宜野座くんなんて大嫌い!』





涙目になりながら結さんが部屋を出て行ってしまった。



再び狡噛さんとアイコンタクトを取り、

わたしは結さんのところへ

狡噛さんは宜野座さんのところへ向かった。






***


部屋を出て少し行ったところにあるひと気のないロビーで結さんを発見した。



「結さん」

『朱ちゃん。ごめんね、みっともないところ見せちゃって』





目をあかくして申し訳なさそうに謝る結さん。

たしかに宜野座さんが過保護になるのもわからなくもない。





「きっと宜野座さんにも理由があるんですよ。

そうじゃないと、あんなこと言う人じゃないですから」

『うん。それはわたしも分かっているんだけど、

宜野座くんに信用されていないような気がしちゃって』






ダメだよね、わたしがそんなこと言っちゃ。と結さんが小さな声で付け足す。

とりあえず、これはもう一度ふたりでちゃんと話し合ってもらうしかない。






宜野座さんを狡噛さんがうまくなだめているといいなと思いながら

結さんが落ち着くまで彼女の手を握った。







***


常守監視官に結のほうを任せ、俺はギノのところへ行けば

ものすごく不機嫌そうな顔でこちらを睨んできた。




おいおい、相当きてるな。

結が最後に言った言葉が。




「大嫌い、だってな。御愁傷様」

「なんだ狡噛。何か用か」





会話が成り立たず、俺はため息をつく。

こういうところは子供っぽいんだよな。






「別に同期との食事会くらいいいだろう。どうしてダメなんだ」

「友人同士なら俺も反対などしない。

だか、結の同期ということはあいつがいるからだ」







さて。あいつとは誰か。

この公安局に彼女の同期は数少ない。

覚えている限りの顔を思い出していると、

ある人物の顔が浮かんで瞬間納得した。




あぁ。あいつ、か




「刑事課三係のあいつか」




ギノがあぁ、と肯定する。

たしか、結に断られてもずっと付きまとってるやつだったなと思いだす。

行かせたくない気持ちが分からないわけでもない。





そうならそうとちゃんと理由を言ってやればいいものを




そう思いながら俺は常守監視官と結が戻って来るのを待った。




***




『宜野座くん、ごめんね。

宜野座くんにもちゃんとした理由があって言ってくれたのに

大嫌いなんて言ってしまって』



「いや。俺のほうこそ、ただ意見を押し付けてばかりですまなかった」






なんとか仲直りできたふたりを見て、わたしはほっとする。

狡噛さんは隣で、世話が掛かるやつらだなと言っているが

心の中ではほっとしているのだろう。






ちらっと見れば、いつものように会話をしている宜野座さんと結さん。

うん、いつもの一係の光景だ





さてと。

わたしは再び仕事に戻ることにしようかな。








嘩したっていいじゃないか









「結。食事会は行ってもいいが、帰りに電話をしろ」

『え?』

「帰りは俺が迎えにいく」

『うん!お願いします』


2013.2.18
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柚希様リクエストありがとうございました。
宜野座さんをリクエストして頂けると思っていなかったのでとても嬉しかったです(*^^*)どうしてもPSYCHO-PASS夢は書いてみると連載夢主にしかならなくて...申し訳ないです。宜野座さんと喧嘩するとしたら、どんなことで喧嘩するのかといろいろ妄想しながら書かせて頂きました(笑)リクエストに応えられた内容になっていればいいな...と思います。
素敵なリクエストをありがとうございました!
藤堂