「瑠璃は今年のバレンタインどうするの?」
『うーん。迷ってるんだよね』

総合分析室には私と志恩ちゃんと弥生ちゃん。弥生ちゃんは私達の会話をカップラーメンを食べながら聞いている。

『一係のみんなにはいつも通り手作りチョコをあげようかと思っているんだけど。宜野座くんのチョコが決まらないんだよね』
「普通それって逆じゃないの?」
「確かに。彼氏には手作りってすぐに決まりそうな気がするわ」

やっぱりそれが普通だよね。うーんと唸りながら机の上に伏せる。

『だって、宜野座くんがいつも貰っているのって高級そうなチョコばっかりなんだよ。そんな中、手作りチョコ贈るなんて恥ずかしすぎる』
「宜野座さん、気にしないと思うけど」
「そうそう。弥生の言うとおり。瑠璃からのチョコだったら喜んで受け取るわよ」
『そうかな』
「そうに決まってるわ」

自信満々に言う志恩ちゃん。その隣の弥生ちゃんは、「受け取らなかったらわたしが嫌がらせしておくから」とさらりと怖いことを言っている。

「ちなみに、去年のバレンタインは何を渡したの?」
『百貨店で売ってたやつ』

それを聞いてか二人は同時に固まってしまった。え、なんで?

「私たちには手作りだったのに?」
『うん』
「宜野座さん、その事実に気がついてるかしら?」
「弥生、私は気がついていないにブラをかけるわ」
「ブラは余計よ」

弥生ちゃんのクールなツッコミが今日も素晴らしすぎる。志恩ちゃんが咳払いをして、姿勢をなおす。

「瑠璃、今年は手作りにしなさい。いえ、作りなさい。なんだか可哀想に思えてきたわ」
「あの人ならちゃんと受け取ってくれるから大丈夫」

私の手を握り励ましてくれる二人。とりあえず、今年は手作りチョコを作って頑張ろうと思います。


んだっていいじゃないか


『(宜野座くんはどんなチョコが好きなのかな)』


2013.2.15