昨日は、レギュラスからの手紙のせいで目がすごいことになってしまった。いつの間にかいなくなっていた“記憶”のレギュラスからは「ひどい顔」と言われてかなりショックだった。そして、現在。レギュラスの使っていた机の周りで昨日のように手紙を探しまわっている。

『ねぇ、レギュラス。今日の手紙も私が読んでもいいのかな?』
「はい。探してもらう予定の手紙は全てメル宛てなので」
『あとね、どうして昨日いなくなったの?』
「・・・すみません。それは言えません」

悲しそうに言うレギュラスにそれ以上、追求できなくて「そっか」と返す。

『じゃあ、今日のヒントは?』
「すぐにヒントを言ったら面白くないじゃないですか」
『レギュラスのバカヤロウ、ドS』

ふて腐れたように言えば、ため息をつかれた。

「しょうがないですね。ヒントは結婚式です」

“結婚式”という言葉を聞いて、私は机の左側の二段目の引き出しを開ける。

『あった・・』

昨日と同じ封筒に入った手紙が、この前行われた学生時代の友人の結婚式の招待状の下にあった。


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“メルへ
今日も無事に見つけてくれてよかったです。今日は学生時代の友人の結婚式にメルと一緒に出席してきました。沈む夕日に赤く染まる帰り道で、お嫁さんが綺麗だったねとか、あの人は全然変わらないねとか、お料理おいしかったねと楽しそうに話すメルは可愛かったです。そういえばこの時の僕との会話を覚えているでしょうか。
“結婚したいですか?”そのように聞いた僕にメルは“レギュラスがいてくれるならどうでもいいかな”そう言って、笑って僕の手を両手で握りしめてくれました。もう死ぬことを覚悟していた僕にって、メルの言葉とぬくもりはあたたかくて、痛いくらい愛おしく思いました。僕がいなくなったあとのメルのことを考えると、切なくて、悔しくて。思わず抱きしめると「痛いよ」と照れながら笑う貴女が僕の腕の中にいました。記憶の僕を残すとしても、この愛おしいメルの体温を感じることができるのは残り一カ月もありません。今は明日も抱きしめることができるけれど、あと少しで僕の名前を呼ぶメルを抱きしめてあげることができなくなります。そのことを思うと、限られた時間の中でもっとたくさんの思い出を増やしたいなと思ったんです。
ねぇ、メル。
今の貴女の1番の思い出はなんですか?もし、その思い出が僕との思い出であったなら僕はとても嬉しいです。”


また明日・・・


(どんなに遠く離れても、愛し続けているから)
(メルはひとりじゃないから)


2012.10.25
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【また明日…/JUJU】