テスト2日前。できる奴は余裕の表情。

「テニスとかかっこいいよね貴族のスポーツでさ、部長で生徒会長で眼鏡とかヤバいよね」
「ハイそこ、現実逃避しないで早く課題終わらせろー」

なんやかんやでテストまで後2日。
完全にイッた目をしている蛍にも容赦なく平手を食らわす阿部隆也、まさに鬼だ。

「はいはい蛍ちゃん!俺はラスト15巻くらいでようやく出てきたのに高い人気を誇っているあのパーフェクトな人のほうが好きです!」
「いや駄目だよパーフェクトは。無駄なし隙なし面白味なしだよ。むしろ初登場ですっごい印象悪かったのにだんだんいい人っぽくかっこよくなってくるあの俺様センター分けの方がいいよ」
「おいそこ早く勉強始めろ赤点予備軍」

阿部がたしなめるものの、蛍と水谷が止まるはずもなく、二人の話はどんどん発展していく。

「いやなに言ってんの!?だったらあのラッキー・・・・」
「地味じゃん。派手なのに漫画的に地味じゃん」
「言わないで!じゃあさ、いっそワカm」
「いい加減にしろお前らは!つーか何!?主役のっとられたいのお前ら!?何で違う漫画の話してんの!?」
「なに言っているんだい、阿部くん。これはすなわち、NETAGIREと言うものだよ!」
「あと二話でシリーズ完結なのにNETAGIRE!?ある意味ヤバすぎだろそれ!!」
「そもそも思い付きで始めたこのテストシリーズが、5話まで平和に続いていたのが奇跡なのさ。・・・・・・そう、それこそここで僕らが出会ったくらいのね」
「月宮、お前の終点はどこにあるんだ・・・・・・・。頼むからキャラくらいは定めてくれ」
「蛍ちゃん・・・・!悟りを開いた蛍ちゃんも・・・・・・俺は、好きだよ・・・・・・・!!」
「え、今何か言った、水谷くん」
「ふ、ふふふふ・・・・ふふふふふふふふ・・・・・!わかってた、わかってたよ、蛍ちゃん・・・・・ッ!どうせ俺なんて、俺なんて、」
「だぁあああああっ!頼むから静かに勉強始めてくれ!今日は花井がいないんだから!!」

阿部の怒鳴り声、今度は無視されずに二人の耳に届いたようだ。静かになる部屋。始めに沈黙を破ったのは水谷だった。

「・・・・・・だって、花井いないと寂しいじゃん」
「・・・・・・なあ水谷。どうしてお前はそう急にデレるんだ」
「だってさぁ、阿部。俺たち、いつもなんだかんだ言って、花井がいないと駄目じゃんよう」
「・・・・・・まぁ、そうかもしんねぇけど。そんかもしんねぇけど、いねぇもんはどうしようもねぇだろ。花井にだって用事があんだから」
「それなのに、花井を差し置いて、俺たちだけで勉強会なんて・・・・・・」
「あのさ水谷。言っとくけど、できる奴は余裕の表情だぞ。うちのクラスで、切羽詰まった表情してんのって、お前ら含め5.6人くらいだからな」
「え?」
「だから、花井は今日一日勉強会から抜けたくらいでどうこうするほどヤバくねぇって話」
「え、」

『えええええぇぇぇぇぇええ!!!??』

絶叫×2。
今まで黙ってはいたものの、蛍も水谷と同じ考えだったらしい。

「だから花井のことは心配せずに、お前らはさっさと自分の勉強しろ。サボれると思ったら大間違いだぞ」


阿部の宣告。青褪め×2。
その日は前半のロスを取り戻すために、いつもより若干スパルタだったとさ。大変だね。

試験までは、後2日・・・・・・。


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20110724




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