「さっちん!あっち行こうよ〜」
「わっわっ、待ってよ名前ちゃん!」
名前ちゃんと二人で買い物に走るさつきを見て、ああやっぱり女の子なんだと思った。小さい頃俺のうしろを一生懸命ついてきた、少し年の離れた妹は、「妹」から女の子、そして女子高生へと変わっていった。
名前ちゃんと一緒にショーウインドウにへばりつくさつきは、なるほど確かに可愛らしい容姿をしていた。成績も俺とは違って上位らしいし、人懐こく面倒見のいい性格をしているさつきは、学校でもモテるんだろうな、と思ったら、誇らしいのと同時に寂しくも感じる。
まるで、娘の成長を見る親父のようだ。・・・・・・今まで、恋人すらいたことが無いのに。
「お兄ちゃん、そろそろあっち行くよー」
「お兄さーん」
遠くでさつきと名前ちゃんが呼んでいる。手にまた増えてる紙袋。
杏たちも凄いとは思うが、やはり女子高生には負ける。・・・・・・女子高生になった杏たちのほうが、今のさつきよりも凄いとは断言できるけど。
「なに買ったんだ?そんなに・・・・・」
「おにいさんへの・・・・・・もごっ」
「な、なんでもないっ!次、行くよ!」
名前ちゃんの口を途中で塞いで、顔を真っ赤にして立ち去るさつき。・・・・・・何を買ったんだ?
「さつきー、」
「知らない!」
そんなに怒ることかよー・・・・・・。俺がへこんでいると、さつきの拘束を逃れた名前ちゃんが、俺のところにやってきた。きょろきょろと辺りを見回し、さつきがこっちを見ていないことを確認すると、俺の耳に口を寄せて、言った。
「さっちん、恥ずかしがりやですから。家に帰ったら嬉しいものが待ってますよ、お兄さん!」
名前ちゃんはそれだけ言いたかったらしく、すぐにさつきの元へ帰っていった。
家に帰ると、やっぱり怒ったようなさつきから、丁寧にラッピングされた写真立てを渡されて、思わず涙ぐんでしまったのは俺の黒歴史、ということにしておく。
鳥籠から巣立つ(何写真撮ってるのよ、名前!)
(あは☆)
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はなまる幼稚園より、だいすきな土田兄妹!
小梅ちゃんとお兄さんも好きです◎
20110526 ちさと
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