思わぬハプニングで俺超ラッキー
『・・・・・・もしもし?』
「あ、みょうじさん!?」
夜遅くだからもう寝てるかもって思ったのに。
電話越しに聞こえる高くて落ち着いた、眠気を孕んだ声に、どきりとした。
『どうしたの、こんな遅くに』
「ご、ごめんね・・・・・・。間違って押しちゃった」
『・・・・・・あ、そう、なの?』
夜遅くに電話を掛けたのに間違い電話だなんて、ホントに申し訳ない。心なしか、みょうじさんの返答の声も、沈んだように思える。ごめんねごめんね、と何度も心の中で謝罪しながら、早く電話を切らなきゃと、必死に言葉を考える。
「ごめん、寝てたよね。もう切るから」
結局気の利いた言い回しなんて思いつかなくて、何とかその言葉をひねり出した。みょうじさんもすぐに電話を切るだろうと、そう思ったのに。
『水谷くんはもう寝るの?』
「え?」
予想外な言葉が耳に飛び込んだ。俺は、夢を見てるのかな、なんて、そう思ってもみたけど違うようで。
「わたし、もうちょっと水谷くんと、おはなししたいです」
驚いて、嬉しくて、頭の中がぐるぐるで、壊れちゃうかと思った。
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