ちょっとだけの勇気、大きな前進
明日からゴールデンウィーク。
やることなんてなにもないんだけど、とりあえずちょっと夜更かししてみる。
学校がとりわけ好きな子ではないけれど、最近水谷くんと話すのは好きだから。やっぱり水谷くんに恋してるんだろうな、とは思うけれど。恥ずかしくって、素直になれなくて、でも、たぶん好きって気持ちは、じわじわと胸の奥からやってきてる。
なんだか、本格的に眠れなくなってきた、と思った頃。
携帯が、小さく奏で始めた恋の歌。
この歌で登録してる人は、一人だけ、だったから。
驚いて、慌てて、通話ボタンを押した。
「・・・・・・もしもし?」
『あ、みょうじさん!?』
「どうしたの、こんな遅くに」
『ご、ごめんね・・・・・・。間違って押しちゃった』
「・・・・・・あ、そう、なの?」
なんだ、間違い電話。
どきどきした自分が恥ずかしい。
『ごめん、寝てたよね。もう切るから』
「水谷くんはもう寝るの?」
『え?』
でもね、神様。
もしもこれが、あなたのくれた運命なら、わたしは、今日くらい積極的になってもいいですよね?
「わたし、もうちょっと水谷くんと、おはなししたいです」
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