小さな刺激物、ときに劇物

「へぇ、みょうじさんって、栄口と家近いんだ」
「うん、幼馴染、ってやつ」
「じゃあ。阿部とも同じ中学?」
「昨年もクラス一緒だったよ」


4月も終わりに近づいて、クラスの中にもちらほらと友達ができ始めたけど、わたしはまだ水谷くんと話をする。

水谷くんの所属する野球部は、今年できたばかりだから1年生しかいないらしい。ゴールデンウィークにはさっそく合宿をすると言っていた。


「ええと、他には誰がいたっけ?」
「あ、えっとね、篠岡さんとか」
「へぇ、しのーかもおんなじ学校なの?うわー、野球部多いなー」
「うん、栄口くんはずっと野球してるし、ちょっとならわたしもルール分かるよ」
「へぇ、じゃあマネージャーやってくれたらいいのに」


その言葉に胸が高鳴ったのは、残念ながら間違いではないようで、ちょっとだけ悔しいと思った。
だけどきっと、これはわたしじゃなくても言うことだから。
ちくり、と胸が痛んだ。



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