どうか誰よりも馬鹿でお人よしな君に幸あらんことを


水谷って、変なやつなんだよ。

いきなりなにお前、って言われるかもしれないけど、水谷って変なやつなんだよ。
水谷と、部活で一番に仲良くなったのは俺なんだよ。たぶん。自信はないけど、一番よく話すのは俺だと思う。
だからこそ、ってわけでもないけど、ちょっとは水谷のことも理解してる。つもり。

所詮は俺なんてただの俺なんだけど、さかえぐちゆうとはみずたにふみきの友人です。ごめんみずたに、親友と呼ぶ勇気は今の俺にはまだない。だけど、さすがにそろそろ、友達って憚らずに言えるくらいには仲良くなったよな?それに付いては俺、少しだけ大きな声で主張できる。

水谷の話をまとめると、同じクラスにみょうじなまえという優しくて可愛い女の子がいて、ちなみにその子は俺の幼馴染だったりするんだけど、その子のことが好きで、間違い電話を掛けちゃって、それでもそのまま結局話し込んじゃって、試合の応援に来て、って言って、そのことに水谷がパニくって、ブチ切りしちゃった、と。


「・・・水谷最低・・・・・・」
「や、やっぱり・・・・・・・・?」


最低だろお前。
相談相手が俺だったからこんなソフトな言い方で納まってるけど、これがたとえば泉や阿部なら、いったいどうなってることか。

なまえちゃんは俺の幼馴染。この話はちょっと前に水谷としたし、水谷はなまえちゃんからも聞いたらしい。二人が仲良くなってくれたら俺は嬉しいし、俺はもうなまえちゃんのことは妹か姉か、くらいの目線でしか見れないから、三角関係とかそんなことも、全然ない。断じてない。これほんとだからな?

だから、微笑ましく二人の動向を見守っていたのに。
ほんとに水谷のやつは。まったくもう。


「みょうじさん・・・・・・・怒ってるかな・・・・・・」
「なまえちゃんはめったに怒らないけど。いろいろ考え込んじゃって落ち込んでるかもね」
「ふえっ・・・・・・それ俺のせい?」
「当然。なまえちゃんが楽しいゴールデンウィーク送れなかったら水谷の責任な」
「ううっ・・・・・・・」


水谷って変なやつなんだよ。
くだらないことを腹に溜め込んで、一人で詰まっちゃうやつなんだよ。
ほんとは気にしなくてもよかったようなことなんだよ。

水谷ってね、軽く見られがちではあるけど、意外といろんなこと考えてるんだよ。そんなやつなんだよ。俺は知ってる。分かってるつもり。

だから俺は、このどうしようもなく馬鹿でお人よしな友達の恋を、応援してやりたくなっちゃうんだよ。





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