私の朝は遅い。
起床は午前8時。学校の始業のチャイム、午前8時25分。
ちなみにうちから学校まで、徒歩1分。
野球部の連中が片付けを終えたころ、私は家を出る。
そして、奴らと同時に教室へ入る。


「おはよ、名前ちゃん」
「はよ、みずたに」


小さく挨拶を交わし、席に着く。
どうでもいいことだが、私の右隣が水谷、左が阿部、後ろが花井。たぶんこれは前世からの呪いか何かだと思う。

あまり記憶の残らないHRが終わると、5分だけのちょっとした休憩。

さて、暇だし水谷をいじめてみよう。


「そういえば水谷、昨日ね、」
「うん、なに?どーしたの?」
「家帰って、以下省略」
「え、なにそれちゃんと全部話してよ」
「は?何で水谷に話さなきゃいけないの」
「だって名前ちゃんの方から話しかけてきたんだよ?このままじゃ俺不完全燃焼なんですけど」
「いや知らねぇしw」
「wつけないでよ!笑い事じゃないよ!」
「まじwwwさーせんwwwww」
「ほんと名前ちゃんって、心のこもらない謝罪をさせたら世界一だよねぇ!」


水谷が若干かわいそうになってきたので、そろそろまじめに相手してやろうと思う。うん、確かに以下省略は、さすがにちょっとひどかったよね。


「えっと、昨日ね」
「うん」

「家帰って、中略、今に至る、と」

「へぇ〜・・・って、いやいやいやいや!」
「え、なに?以下省略は使わなかったよ?」
「たしかにそうだけど!中略、今に至るじゃさっきとあんまり変わってないよ!」
「わがままだなぁ」
「名前ちゃんがね!」
「ふぅ・・・・そういうことにしてやるよ、まったく水谷は・・・」
「名前ちゃんは俺の永遠の敵だよ!」
「まぁ、何もなかったよ。普通にご飯食べてお風呂入って寝た」
「じゃあ何で俺にそれを伝えようとしたの!」
「水谷の顔がおもしろいことになるから、と思っているが言わないでおく」
「思いっきり声に出てるよ!」


まだ授業も始まっていないのに疲弊しきった様子の水谷がいい加減かわいそうになってきたのでここでやめておくことにする。
今日の水谷という番組があったらきっと毎日「かわいそうだ」って言われると思う。犯人は私だけど。


たった5分だけの休憩は、とても短い休憩。
その5分だけの休憩に、私がすごく、すごく癒されてることは、悔しいから水谷には教えてあげない。

さて、今日も、チャイムが鳴った。
きっと、明日もこのチャイムを聞く。
チャイムが鳴るまでの5分間が早く感じるようになったのは、きっと、きっと、水谷のせい。



だって、水谷の顔が面白すぎるから。




お姫様は素直になれない
(と、いうことにしておく)

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千打感謝のお話でした。
フリー期間は一応終了ということですが、もしもお持ち帰りをしたいという方がいらっしゃれば、ちさとの方までご一報ください


20110921 ちさと





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