*水谷前提





超可愛すぎる。


茶色で短めくせっけなふわふわ頭とか、

とろんと垂れた大きな目とか、

舌っ足らずな甘えたようなしゃべり方とか、

肝心なとこで失敗しちゃうドジさとか、

変なとこで決めちゃうかっこよさとか、


――――可愛すぎる。



「何?どしたの、にやけて?」

物思いに馳せていた私に声をかけてきたのは栄口君。
急にだったからびっくりした。

「もしかして水谷?確かに可愛いところあるよねー」
「!? な、なぜそのくだりまで・・・・・・・!?」
「おもいっきし声に出てたよ?・・・・・・・・独り言とは思えないくらいのボリュームで・・・・。」

「ま、マジですか・・・・・・・。」

思わず青ざめて辺りを見回す。
彼氏である文貴は今はここにはいないことを確認して、また栄口君に向き直った。

「文貴には、」
「・・・・・・・・・・・・・知られたくないんなら、それ相応のなにかがあるよね?」
「・・・・・・・・は、はぃ・・・・・・?」

うっわ、誰この人!!
めちゃドス黒いオーラが出てるんですが!!!?


「――――今度、うち来いよ。・・・・・・・・・・・・親、いないから。」


耳元に顔を寄せられ、そっとささやかれる。
いつもより幾分低いトーンに、思わず体が震えた。

ええ、親いないって、それって、ええ・・・・・・?

どきどきしながら栄口君の顔をこっそり盗み見ると、ぱちりと目が合った。
そのとたん、堰が切れたように大笑いする栄口君。

「あっははははは!冗談だよ!!そんな、本気にしなくてもさ!あははははっ!!」
「え?え?・・・・っも、もう!!!」
「あはは、苗字ってホントおもしれー!確かにこりゃ水谷が夢中になるよなー!!」

どうやらからかわれてただけみたい。
栄口君も、こんな意地悪するんだ。
ほっと一安心したところで、栄口君からのカウンターヒット。




「・・・・・・まあ、苗字が水谷のカノジョじゃなかったら、本気になってたかもしんないけど、」






カウンタークリティカル、ノックアウト!
(栄口くん・・・・・・!)
(冗談のつもりが・・・・・・水谷なんかごめん!)

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20110401 ちさと





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