「私はね『世界』って地図に示したようには見えないの」
「ずっと戦場にいた私に見えるのは皆の顔だけ…」
ついこの前教団に入ったばかりの彼に、私はそう言った。
変な奴って思われたかもしれない。
でも、私にはそれしか考えられなかった。
私の足下に大きなパズルが広がっていて、誰かに出会えばピースがはまって、パズルが完成していく。
…ハズだった。
教団でAKUMAとの戦闘を経験していると、多くのピースが弾けるように消えるのを、目の前で見てきた。
埋まったと思えば、消えて幾何学的な穴が空く。
また別のピースがはまったと思えば、また消える。
…そんな光景を、何度見てきただろう?
私の足元は、一向に不安定なままで。
普段、身近で付き合いが長い人達のピースも、他に比べると大きくて存在感はあるけど…
大きいが故に脆く壊れやすい、儚いものだということを知っている。
少しでも衝撃を与えただけで、容易く崩れてしまいそう。
だから私は、ピースが崩れないように、衝撃を与えないように守るしかないの。
私はもう充分傷ついた。
この傷を癒やすことができたのも、私のもとに『仲間』という、世界(パズル)が創られたから。
私はこの世界に感謝したい。
恩返しがしたい。
世界が…仲間が大切だから。
守りたい、救いたい。
何かを救いたいという思いは、彼と一緒ね。
でも私は、私の『世界』を守る為に。
一つとして『世界』のカケラを零さないように…
皆と笑顔で過ごせる未来を夢見ながら…
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