32 扉の隙間から見えたのは保健室にある保険医の席で抱き合っている二つの人影で、それはよく見るとそれは沼田先生と工藤先生だった。 …しかもなにやらやらしい音が聞こえるし、思わず目をそらしてしまう。 聞きたくなかったよ見たくなかったよ先生の性事情なんてよぉ…。 工藤先生も凄い色っぽいし沼田先生なんて工藤先生の服の中に手突っ込んであーあ…気持ちはわからないでもないよ、保険医ってなんかエロいしね? あれ、でも確か沼田って既婚者じゃなかったっけ。 そう思い再び先生達に目をやると口角を上げてこちらを見つめる工藤先生と視線が交わった。 やばい、小さくそう呟いてしまい慌てて覗きこんでいた顔を引っ込める。 本当にやばい、ばれた?工藤先生すっごいこっち見てたし! そっと神経を集中させて扉を閉めて耳を澄ますと沼田の声が聞こえてきた。 「今なんか音しなかったか?」 「そうねぇ…ねずみじゃないかしら。そんなことより、集中して」 …ねずみ。私達のことをねずみだと。 やめてくださいよほら、奏くんなんて目に見えて不機嫌だよ!奴当たられるの私だよたぶん! そして私は二人に引きずられる形で学校を後にしたのであった。 そして帰り道、案の定奏くんは不機嫌である。 「あの女狐、俺のことをねずみだなんて失礼ですよね。先輩のことならまだしも」 「本当だよねぇ、あのクソビッチ!」 「二人とも口悪すぎるよ…あと私もねずみじゃないよ…」 思ったより湊くんも不機嫌だった。 「保健室の魔女ってやっぱり工藤先生のことだったんだ…」 「まあ少し考えればわかりますよね」 「ちなみに沼田はこの関係ずっと続けてるらしいよ、奥さんいるのにねぇ?」 「え゛二人とも知ってたの」 「知ってました」 「知ってましたよぉ」 「お、教えてくれてもよかったのに…!心の準備ができてなかったよ!」 「先輩顔真っ赤でしたもんね」 「なまえ先輩思ったより初心なんですねぇ」 「うるせぇやい!知ってたなら事前に言っとけ!」 そう叫ぶと双子は案の定意地の悪い笑顔を二つ並べてこう言い放った。 「そんなの、つまらないじゃないですか」 知ってた、私そんな答えが返ってくるだろうなってなんとなく予感はしてたよ。 やれやれと肩をすくめて大人しく双子を家まで送り届けるしか今の私には出来ることはありません。 明日、伊勢さんにもっかい沼田のこと聞いてみよう。 ていうか多分双子はこの先生の秘密を知ってて脅してたんじゃないかなあ、あの二人ならやりかねないからな、と思いながら可愛らしい後輩二人の後を追いかけるのでした。 ちょっ!早い!歩幅違うからもう少しゆっくりお願いします!! |