30 「今日もっかい保健室に忍び込もうと思う」 保健室に何があるのか気になって居ても立ってもいられず双子に提案したところ 「いいんじゃないですか?」 「いいですよぉ」 「奏くん他人事みたいに言ってるけどもちろん君も強制連行だからね?」 二人は快く(奏くんには舌打ちされたけど)了承してくれたのでさっそく今夜再び学校に忍び込むことに。 まあ前と同じ感じで集合しようという話になりそこからはいつものようにぐだぐだお喋りするだけの時間がはじまった。主に話すのは私なんだけどね! 割とみんな自由人なので基本的に同じことを三人でやることはあまりないのだ。 例えば今なんてべらべら喋っている私の髪をいじる湊くんの傍で奏くんは本を読んでいるし…あれ、それ官能小説じゃね?知ってるよそれ読んだことあるもん。 いやぁ、奏くんも立派に男の子だったという訳だねふふふ。 この間のお宅訪問ではエロ本探せなかったけどやっぱりこの子達もそういうお年頃だよね! まあ官能小説読む高校生男子ってあんまいないんじゃないかとは思うけど。 「奏くんもそういうの読むのね!」 「…なににやけてんですか…っていうかこの本知ってるんですか?」 「え!?んん、ああまあ、うん」 「なまえ先輩も読むんですねぇ」 「好奇心に負けて…ね」 「好奇心だけは人一倍ですね!」 「それと、この本俺のじゃありませんから」 「そうなの?」 「図書室に置いてあったんですよ」 ええ!?置いていいの!? 「大方誰かのいたずらでしょうけどね」 「あ、だよね!」 「読んだら処分しておきますよ」 そう言いながら表情をかえずに静かにページをめくる奏くんは傍から見ると美少年の読書タイムなのだが読んでる本が官能小説だから微妙な気持ちになる。 そして湊くんは相変わらず私の髪をいじって遊んでるし。 ちょっと気になって手持ちの鏡でチラリと見てみれば鏡の向こうには某国民的大家族アニメの財布忘れたお姉さんヘアーになっていた。 …え、なにこれ?湊くん凄い器用ね?私今滅茶苦茶びっくりしてるよ。 「湊くん凄いね、なにこれ」 「あは、暇だったからつい…」 「そんな可愛い笑顔で言っても誤魔化されないから!帰るまでには元に戻してよ!?恥ずかしくて帰れないよ!!」 「大丈夫ですよぉ、なまえ先輩元から恥ずかしいから」 「湊くん!?!!!?!?」 このあとちゃんと元に戻してもらいました。 ちなみに官能小説読んでも微動だにしなかった奏くんが私の髪型を見た瞬間吹きだしたので凄いレアな瞬間を目撃することができました。 そんなに変だったのか…。 |