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「湊くんから着信だ。もしもーし!」

「あっなまえ先輩ですか?今どこにいます?」

「今ねー家出るところだよー」

「じゃあ僕らの家まで迎えに来てください!どうせ通り道ですからいいですよね?じゃあまってまーす!あはっ」

「っえ!?湊くん?…あ、切れてるくそッ!」


喋るだけ喋りこちらに反論の隙も与えず切るのが奴の手口のようです。
次からは油断せずに電話に出ようと思います。

仕方なくそろそろ行こうとお母さんに正直に七不思議見てくる、と伝えたら気の抜けた声で


「あらそう、頑張って?でもママ朝帰りはまだ早いと思うの」


と言われた。
誰も朝帰りなんてしないよ?七不思議見に行くって言ってんじゃん。
なにその彼氏の家に泊まりに行くための口実みたいな…彼氏なんていません…。

でも煩く言われるよりははるかにいいのでそのまま静かに家を出ていくことに。
後ろからママにも紹介してね〜なんて聞えてくるけどすべて無視の方向で行きたいと思う。
持ち物は携帯と一応懐中電灯もポケットに入れてあの理不尽な双子を迎えに行こうと思う…普通逆じゃない?私女の子…。
でも夜道は割と大丈夫な方なのでテクテクと双子の家まで突き進む。
方向音痴なんておいしいキャラじゃないので真っ直ぐ双子の家まで向かうことができた。


ピンポーン


「みょうじなまえでーす!戸崎くんいますかー?」

「間に合ってます」

「いやあの、勧誘とかじゃなくてみょうじ先輩ですよー」

「警察呼びますよ」

「なんで!?!?」

「冗談です」

「なまえ先輩さっきぶりでーす」

「奏くんの冗談は分かりにくくていけない」


お茶目な後輩を引き連れてぞろぞろと学校へ向かいはじめた。
こんな時間に友達、友達…?まあいいや後輩と歩くのは新鮮でなんだかそれだけで少しワクワクしてまう。
夜の学校はちょっと怖いけどはるかに怖い双子がいるから全然平気。なに来てもこいつらに任せて私は逃げるから。


「先輩、可愛い後輩置いて逃げたら許しませんからね」

「え…ななななんのことかな?」

「僕可愛いから不審者に襲われたらなまえ先輩が守ってくださいね!」

「え?私?私が守るの?」

「俺は先輩置いて逃げるんでよろしくお願いします」

「それはなんとなく予想出来るよ私」


奏くんなら冷めた目をして本当に置いていきそうだから笑えない。
でも奏くんも笑いながら去っていきそうであれ、こいつ等なんにも頼りにならないんじゃ…?

そんな不安を抱きながらも学校についてしまった。

せめて双子が幽霊とかダメだったらなーなんて淡い期待をしながらこっそり校門を抜けて保健室へ向かうのであった。


「…先輩、校門くらいさっさと乗り越えてくださいよ。本当に鈍くさい…」

「はい…すみません…」


奏くんに引っ張られて無事門を上ることに成功しました。
ボソッと重いと聞こえたのはきっと幻聴です。


「何で泣いてるんですか?なまえ先輩」

「泣いてないです…」



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