14


「おはようございまーす…」

「どうしたのみょうじさん、そんなサンタは実は居ないんだよって教えられた子供みたいな顔して」

「だいたいあってる」


まさしくそんな感じの出来事だったから。天使は天使のまんまじゃなくて中身は立派に狼だっただけだから…勝手に決めつけてるだけで実はチェリーボーイだったりする可能性も…!?
いや別に私童貞好きって訳じゃないけど…!いや嫌いじゃないけど…!って何を暴露してんだろう??


「あっみょうじちゃんの髪型可愛いー!美容師さんにやって貰ったの?」

「私がやってないことは前提なんだね美園ちゃん」

「そりゃそうでしょ、まあ似合ってんんじゃない?」

「本当!?実は後輩君にやってもらったんだー!まじ器用じゃない?」

「ああ例の双子の、勉強もできるし手先も器用だしモテモテでしょうね」


確かにモテモテだろうなー…可愛い顔してるし年上受けしそう。戸崎君も可愛い顔してるけど雰囲気がクールだし同級生にも彼のことが好きな子いっぱいいるんだろうな。

神様って不公平だ…私自身は平凡顔だし勉強は苦手だし運動もそんなできるわけじゃないし…あれ、なんか凹んできた…。

窓に寄りかかりため息を吐き外を見る。
あ、あの男子生徒間に合うのかなーもうすぐチャイムなるぞー…おっ滑り込んだ!ああでも生徒指導の先生に捕まってる。


「信玄公話長いんだよねー」

「ね、可哀相に。名も知らぬ男子生徒よ」


ちなみに信玄というのはあだ名だ。
苗字が武田だし体格もいいから誰が言い出したのか自然と広まってたんだよね。
いやまあ武田信玄の勝手なイメージにすぎないんだけどさ、たぶんあんな感じなんだろうなとぼんやり思う。


「さー今日も一日頑張りますか!」

「金曜日だからやる気でないけどね」



そしてあっという間に放課後。


「朝ぶりですね、なまえ先輩」

「湊君ー待ってたー数学解んないー」

「もーなまえ先輩ったらあ」


勉強会最終日だ。今日は湊君に聞けるとこはすべて聞いてしまおうという作戦です。
いやぁ、戸崎兄弟は教科書みるだけで粗方理解してしまうし本当にいい先生です…泣いてません…心の汗です。

仕方ないなあっていいながら教えてくれる姿勢をとる湊君は本当に天使に見えます。

しばらく勉強を進めていると湊君が突然顔を上げて話しかけてきた。
…殆ど私の勉強見てもらってるせいで彼自身の勉強できてなくて申し訳ないなあ。


「明日もよければ一緒に勉強会しませんか?」

「いいの?」

「奏もいますよぉ」

「行くわ」


ようやく双子が二人そろってるところが…?
楽しみを胸に秘めて私はまたノートに向かった。



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -