11 (11/12)



absent "G" -11-




カミサマ。
アナタの言う『見返り』ってまさか・・・・・・?!



『ナッツさん!』・・・不意に声をかけられた。振り向くと、良く知った顔が其処に在った。作業員の中で最年少の男の子。成人したばかりだろうか、あどけなさが残る目鼻立ちの、可愛らしい子だ。彼は、辛い作業と分かっていて敢えて作業に参加した、あの街の住民だった。
彼はボクに決まって声をかけて来る。ボクと目が合ったと同時、キラキラした瞳で駆け寄って来るその姿と、『いつもありがとうございます』とか『この間頂いた果物、とても美味しかったです!』とか、他愛も無い話をこれ以上無いくらい嬉しそうに語るその姿・・・・・・

・・・何処かで見たような気がするのはボクだけだろうか?


と、今度はボクの背後から声がした。『ココぉ〜!』と。
ギョッとして振り向いたら、其処にはリンちゃんがいた。『携帯!ちっとも取りに来ないから持って来たし〜!』・・・話の途中だったけど、ボクは彼に断りを入れる余裕なんて無かった。手を振るリンちゃんに慌てて駆け寄った。今この場ではボクは『ココ』じゃないんだよ。頼むからリンちゃん、その名でボクを呼ばないでくれ。
慌ててリンちゃんの至近距離まで近寄り、リンちゃんを隠すような形でヒソヒソと事情を説明したボク。『ココ』ってバレると面倒なんだ、と頼み込むと、リンちゃんはすぐに了承してくれた。そして、『でもナッツって!ベタすぎてありえないし!チョー可笑しいし!!』って笑われた。
女の子特有のハイテンションに、参ったなぁ、なんて苦笑しつつ額に手をやったその時・・・背後から心臓を止めかねない視線。ボクの首筋を掠めて貫く先は・・・リンちゃんだ。
ボクは、恐る恐る振り向いた。振り向いて・・・近寄って来る彼の名前を呼んだ。
『お友達ですか?』っていつもの笑顔で話しかけてきた彼を前に、ボクはリンちゃんを自身の背に隠していた。そのボクの仕草に向けられた瞳の中に、今にも零れ落ちそうな殺意を感じたボク。ボクは咄嗟に答えた。『妹だよ。妹みたいな・・・子だよ』と。そして間髪入れずに『ボクの親友の妹で、ボクのもう一人の親友の彼女候補だよ』と。
『やっ・・・やだし〜!彼女候補とか言われるとマジ照れるし〜!』・・・リンちゃんが興奮してボクの背中をバシバシと叩いた。痛い。興奮しすぎじゃないリンちゃん?いやそれよりも何よりも。

・・・今の視線、覚えがあるのはボクだけだろうか?!


そんなボクの疑問はさておき、気が付くと彼はリンちゃんと固い握手を交わしていた。『ボク、ナッツさんには凄くお世話になってるんですよ』なんて和気あいあいと自己紹介を始めた彼に、ボクは言葉を失っていた。
・・・さっきの負のオーラは何だったんだろう?夢か?夢だよね。だって彼がそんな危険人物な訳無いよね。だって今の彼、殺意の『さ』の字も感じない。うん、夢だ。夢に決まってる。・・・そう思わせる程の変わりぶりだった。いや・・・そう思いたいボクがいた。
彼のとどめの言葉、『末永く宜しくお願いします!』を聞いたから。

・・・
・・・・・・
・・・・・・あれっ?


この期に及んで聞くのも何ですが意を決して聞きます。
・・・カミサマ?これってひょっとして・・・・・・?!


不意に、その彼と目が合った。


・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!








『拝啓カミサマ、ボクは今、』
-I'm Stinging you,God!?-


Thank You for Reading
till the Last!!





◇◇◇◇◇



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -