家へ帰り、疲れた身体を休めるべく部屋へ駆け足。部屋の前に着き、ガチャりとドアノブをひねって引く。ドアを開けた瞬間、隙間から見たくないものを見てしまったような気がした。嫌いで嫌いで仕方ない、あいつがいた。


title[嫌よの返事も好きのうち]



驚きのあまり勢いよくドアを閉めてしまったが、冷静になれ。なんでオレの部屋にいるんだ?信じられず緊迫感溢れる部屋を再度その手で開けた。が、やっぱり部屋に居やがる。くそ。無視してやろう、気に食わないし、構いたくない。オレはまるであいつが居ないように振る舞いベッドにダイブする。なんで居るんだよ。今日は母さんが休みで家にいるな…、そうか、こいつを部屋に招いてしまったんだ。どうせまだ真は帰ってないから部屋でゆっくり待っててくださいな、とか言って。ふざけんな。


「なぁ、花宮。なんで無視するんだ?」

「…」

「おーい、寝たのか?」

「…」

「んー…、仕方ないなぁ」

するとそいつは立ち上がったのか床が少しばかり軋む音がする。歩いて…止まった?振り向きたくなかったので聴覚を頼りに今を予想する。カチャッ。それは鍵の閉まる音だった、まずいことになったかもしれない。でもオレは後ろを向くことができなかった。

「寝てるなら…少しくらい良いよな」

心拍数が上昇する何をされるのかわからない、恐怖心でいっぱいだ。振り向くか否か。今度はオレの寝ているベッドのスプリングが音をあげた、なんだこいつ、何する気だよ。

「すぐ寝るもんかな…」

言葉を聞いた瞬間、耳に違和感を感じた。噛まれてる?もしかして噛まれてるのか、頭がパニック。変な感じがする、とてつもなく。つーか、何で噛んでるんだよ。わけわかんねぇ、どうしよう。どうしようか。

「うあっ!」

オレは自分でも予期せぬ声をあげる。今度は舐められた、耳の裏側を舐められた、変態。変な感じだ、なんかもう嫌だ。これで寝てられるかよ、耳をがぶがぶかぶりつかれて舐められるなんて、ごめんだ。くすぐったいったらありゃしない。オレは目を開け身体を仰向けに思いっきり動かす。少し体勢を崩したあいつはきょとんとこちらを見つめる。

「ん?起きてたのか」

「起きてるわばか!!!」

「残念だな」

「な、に、が、残念、だよ!!!」

今の状況を簡単に説明すると、さっき仰向けになったオレが木吉に押し倒されているような状態で、母さんに見られたら何を言われるかわからない。間違ってもオレはホモじゃないと言いたい。でも鍵かけられたから開けることは無理だろうから大丈夫か。あーもう、腹がたったから殴りかかった。しかし、顔面狙って殴ったはずなのが意図も容易くあの大きな手で受け止められた。そして手を外に押し付けられ、これはまずい。木吉の顔が近づいてくる。

「花宮、可愛い」

「はあ!?」

「反応が良くてな」

「お前大丈夫か!?頭いっちまったんじゃねーの!?」

「いや、普通だけど」

「嘘言うなばぁか!!」

「だからオレは普通だと…」

「普通じゃねぇよくそっ!!離せ!!」

「断る」

「…〜っ!!!」

なんでこんな力強いんだよ、動けねぇ。イライラは最高潮。いっそのこと釣るか、木吉を。わざと釣って落とせば良いよな、よし。オレは一度木吉を誘いそのあと罵声を浴びせ散々言ったあと部屋を追い出すことを脳内計画する。

「…いいぜ、木吉。オレを楽しませてみろよ」

「お?花宮にしては珍しいな」

「はっ、付き合ってやるよ」

「…言ったな花宮」

「ああ」

「じゃあ遠慮なく!」

「んなわけねぇだろばぁか!!」

「!」

「お前なんかといちゃこらするくらいなら死んだ方がましだ!」

一瞬現れた沈黙、これで勝てたか。よし後は追い出すだけだ。

「…花宮」

「んだよ」

「すまん」

「え?」

「もう止められないんだ」

「は?」

「我慢しててな」

言葉と同時に服を無理やり脱がされて何をされるもなにもそこから先の事を思い出すと鳥肌がたつ、なんであいつを受け入れたんだかわからない。昨日の話である。別に好きでもない、はずなのに。バイブ音が鳴る携帯を開くとそこにはあいつのからのメールが一通。

「今日、会えるか?」

会いたくなんかねぇよ、ばぁか。オレはメールに返事をしなかった。


end(0から始めた終わりが無い)



木花いかがでしたか…。なかなか慣れないもので苦戦しながら書きました。
私的に木花は木→花のイメージが強いです、花宮は木吉のことが好きだってことを認めたくないような感じがします。









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