オレの初恋は小3の頃、隣の席の女の子で、理由は可愛いからと至って単純。告った結果その恋は実ったものの、数日後オレからふってしまった。バスケに夢中になってしまったから。ふったことに関してその子もあまり気にしてないみたいだった。だからなんも思わなかったし、また新しい恋が見つかるだろうって考えてた。


title[混沌の日常]



いつも以上にバスケに没頭している時期、所謂モテ期がオレにもやってくるようになる。それは中2の頃。オレは健全な一人の男子で、青春真っ只中であった。そんな中できた好きな子。理由は優しくて面白いから。向こうから告白してきて付き合うことになる。けど自然消滅。お互い受験に忙しくて、オレが受験から解放された頃にはその子には別の彼氏ができていた。あんまりショックでもなかったし結局話すこともなく卒業。ラブレターも手紙もメアドもたくさん貰ったけど、必要な人だけしかアドレス帳に登録しなかった。その子のメアドは消去した。オレはバスケに夢中だった。さて高校生だ。元気良く登校。あんまり意識はないけどオレは人から好かれるらしい、周りに明るく振るまい賑やかに話すのは楽しいけど、いまいち面白味がない。


「お前バスケ部希望だっけか?」

「そうだよー」

「キセキの世代って知ってるか?」

「なんとなく」


「そん中のが一人入ったらしい、確か名前は緑間しんた…」


「キセキの世代とか、あんま興味ねぇかも」

「はっ!?興味ないのか!?」

「あんましないー、だってそれでどうしたって話じゃん?」

「チームが強くなるだろ!」

「はいはい。んじゃ、オレバスケ部に入部届け出してくっからー!」

「おい人の話を!」

「後でねー」

「…」

軽い足取りでバスケ部に向かった。正直キセキの世代とかは興味が一切ない。才能だのどうだの、楽しけりゃなんでもよくね?そんな軽いもんじゃねぇって言われるだろうけどオレにとってはそんなもんなんだ。考えながらぱたぱた走るとオレより20pくらいは大きいデカブツがいる。眼鏡に包帯に…なんだありゃ!リ●ちゃん人形か!?変わった趣味のやつだな…とりあえずバスケ部に関わってそうだし、上履きはオレの学年だ。


「ね、君」


声をかけるとくるっと振り向く。

「なんなのだよ」

「名前何て言うの?」

「聞く前にまずは自分から名乗ったらどうなのだよ」

「はは、ごめんね。オレは高尾和成。君は?」

「緑間真太郎だ。」

「…えっ、まじか!」

「人の名前聞いておいてなんなのだよ」

「いや…すげぇ」

近づいてみるけど改めてみるとこれは190あるぞ。はじめて生でこんなでかい奴見た。なのだよってなんだよ。てかこいつがキセキの世代の一人か…関心が顔に表れる。なぜかオレの目が泳いでる、なんだこの感じわけわかんねぇ。めっちゃドキドキする。緊張のような何かが巡る。


「緑間くん?って呼ぶべき?」

「なんとでも呼べばいいのだよ」

「ん〜じゃあ…真ちゃん!」


にかっと笑ってみせた。って、うわああオレなにちゃん付けで呼ぶとかいってんの!ノリっつーか!なんか女々しくね?絶対拒否られるしひかれる!もう取り戻しできないと顔を赤くし下に俯く。すると緑間…真ちゃんは思わぬことを言った。


「…恥ずかしいが構わないのだよ、高尾」

向こうもなんか照れてるし!なんなんだよ!わけわかんねー!!カップルみたいじゃん!そんなんじゃねーっつーの!…いや待てよ、この際それぐらい仲良し振る舞っても良いかもしれない、そんな謎の心境は心の角にしまっておくことにした。とりあえずオレはなぜか真ちゃんを気に入ってしまったのであった。確かに最初の方は噛み合わなくてイライラすることとかいっぱいあったけど、真ちゃんは優しい。大きな手で撫でられたときの安心感もやばい、もしかしたらオレ、真ちゃんのこと好き、だよね?もしかしなくても好きだよこれ、同性に恋してしまったオレはもうダメな気がした。昔から色んな女の子を好きになって付き合ってもちゃんとした恋愛ができなかったのに、なんでだろう。付き合ってもない、それ以前に男子である真ちゃんなら一生好きでいられる気がするほどのトキメキを感じてしまった。ねぇ真ちゃん、オレは真ちゃんのこと大好き。でも真ちゃんはオレのこと好きっていってくれるかな?不安と友情と恋愛感情が思いっきり交わりあった混沌の日常、気がつけば両思いというシナリオを、オレは期待したの。神様がすでに叶えてくれていたことにも気がつかずに。


end(初めと終わりの運命線)










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