「真ちゃん、真ちゃん」 泣きながら高尾がオレのもとへやって来た。一体なんなのだよ。 「ねぇ、どうしよ、」 ずっと俯いてぽろぽろ涙をこぼす、オレは無言でハンカチを渡す。 「うっ、うう、真ちゃん」 「どうしたのだよ」 「あの、ね、あの、」 title[葡萄味のマスカット] ハンカチを渡したのに使わず両手で握っている。どこの女なのだよ。何があったかわからないけど様子からしてそうとう辛いのだろう。両手を高尾の肩に乗せる。それに驚いたのか肩を跳ねさせた。 「しんちゃ、あ、うああ」 顔を見上げた高尾はぐちゃぐちゃに泣いていた。鼻水をすすって、息も荒いし目も軽く赤い。 「俺が相談にのれることなら聞くぞ」 「ほん…と?」 「ああ」 そういうと高尾は少し笑った。次に発せられた言葉は予想がつかないもので。 「オレ、真ちゃんが、恋愛対象として、ね、」 「好き、みたいなんだよ」 突然だったので驚かされた、けど、なに言ってるのだよ。 「気持ち、悪いよね?ごめん、ね、でも、好きなんだよ」 また溢れ出てくる涙、きらきら光って落ちていく。オレはこの言葉たちに対してひくような感情を抱かなかった。…つまりそういうことなのだよ。止まることなく泣く高尾を強く抱き締めた。全く、こっちの身にもなってほしいのだよ。 「気づかなかったのか、高尾」 「…ふ、え?」 「オレも、その、好きだ」 「…え?」 「二度も言わせるな」 「う、ああ、ん、真ちゃんの、ばかぁ」 そう言って俺が抱き締められた。声からして今度は笑い泣きなのだろう。こんな形の両思いってありなのだろうか。 「真ちゃん、大好き、」 「ああ」 泣き止むまでは、ここから動けなさそうだ。 end(同性の恋愛も、変わらない) ← |