「お前がアイスなんて珍し」

「そうかい?」

「ああ」

練習が終わる。
みんな水を喋るなり帰るなり好きにしている。
基本的に青峰は体育館の端で人が退くまで寝る。
が今日は隣に赤司がいるのだ。
一体どこからアイスなんて出したんだよこいつ。
食べてるのは苺味っぽいアイス、女みてぇだな。
じっと見つめる。
せっかく寝ようと思ったのに今日は急遽起きることにした。
寝てる間なにされるかわからないから。



title[君と冷たい夏の味]




「なんで隣に来るんだよ」

「悪いかい?」

「いや、別に」

悪いかい?と聞いたときに笑った顔がちょっと可愛かったような。
しゃくしゃくと食べるアイスは体育館の余熱と気温で溶けていく。
垂れないようにせっせと舐めていく姿をまた見つめる。
あー、エロいなこりゃ。
本来男に対して抱くべき感情ではないが、青峰は思った。
未だアイスは残っていてぽたぽた手や床に落ちていく。
不意にそのアイスを食べたくなった。
このまま奪ってしまおうか、そしたらシバかれるか。

「あーかーしー」

「なんだい」

「オレにもくれよ」

「やだ」

見事拒否された。
でもそんなんじゃあ食欲は収まらないから、ダルい体を赤司に向ける。

「これくらいなら良いだろ」

「…!?」

そして赤司の手にたれた微量のアイスをなめる。
汗と甘み、苺の酸味もした。
猫のようになめ続けた。
舌を腕の辺りまで這わせると赤司が声を漏らす。

「いっ、ゃ、くすぐったい、ぞ」

「ほらアイス落ちるぞ」

「…あとで覚えてろよ…っ」

そういって最後の一口を口に含んだ。
舌なめずりをすると青峰の顔をもう片方の手で掴んだ。
むぐっ、と頬が手で軽く挟まれる。

「おい、はなしぇ、あかし」

「悪い子にはお仕置き、だ、っ!?」

一瞬その手に感じたのはざらざらしたもの。
青峰の舌である。
赤司はすぐ手を放し、こちらをすごい形相で見る。
あのときはアイスに集中してたからあまり感じなかったが
いざ掌に感じるしたの感覚は気持ちが悪かった。

「あまじょっぺぇな…」

「お前ってやつは最悪だな」

「知ってるわ」

「皆にこんなことしているのか」

「お前かテツくらいだわ」

「はぁ、場を弁えろ」

「もう自由時間だろーが」

「…僕の命令は」

「絶対、だろ?」

「わかってるならやめろ、恥ずかしい」

「たまには反抗したいんですー」

「ったく、躾をし直さなきゃな。青・峰・くん」

「おー、なんでもこいよ」

「ふふ、いい度胸じゃないか」


赤司はそう笑うと立ち上がり、青峰のユニフォームを掴み歩いていった。


「なんですかね、あの二人は」

「いやな関係っすね」

「…見てられないのだよ」

「ねー、ねー、赤ちんがオレらのこと見てるよ」

「うわっ、やべぇっす」

「どうせオレらも捲き込まれるのだろう…」

「黄瀬くんがんばってきてくださいね」

「えっ!?オレだけっすか!?」

「黄瀬ちんずるーい」

「あーもう!!みんなで行くっすよ!」


今日の帰りは遅くなりそうだな…。
そう思いながら黒子たちが赤司の方へ走ってく。
まるで赤司に呼び寄せられるように。
だがこれも日常の話であった。



end(汗と青春とお前の味)









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