Clap
ぱちぱち


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木花♀↓



揺れる電車の中、もうはち切れんばかりに人の入ったそこは身動きがとれるような所ではない。冬なのに蒸されるような夏の暑さを感じさせられた。自分たちが降りる駅まであといくつかを数えるのすら億劫になる。

「花宮、大丈夫か?」

「大丈夫…んなわけねーだろ、ばぁか」

「随分苦しそうだがそっち行くか?」

「うるせぇ、余計なお世話だ」


携帯のメールで地道にやり取りをする。あまりに多い人の量は二人を遠ざけた。といっても間に人が数人詰まっているだけで、それなりに身長のある木吉は首を伸ばし隙間を見れば花宮の様子がわかる。一方花宮はというと運悪く大きめの人に囲まれてしまったようで少々苛立っていた。しかし次の駅で降りるということであと少しの辛抱に花宮は耐えている。

「次の駅っても距離ちょっとあるし、やっぱりそっちに行こうか?」

木吉は心配になりメールを送る。花宮は人混みが好きじゃないし暑く蒸されるのにも慣れていない。運悪く当たってしまったこの時間と駅までの距離が憎い。そんなことを頭にちらつかせながらまた携帯を開いた。新着メールなし。返信が面倒になったのかそれとも花宮の身に何かあったのか、ちょっと背伸びをして花宮を見つける。

「…花宮?」


見つけた、のは良いもののどうも様子がおかしい。ちらちら見える表情はやけに青ざめている。気分でも悪くなったのか詳しいことがはっきりわからなかった。人を掻いて花宮の元へ向かおうとしたがタイミング悪く電車は大きく揺れてうまく移動ができない。電光掲示板を見るとあと5分と書かれた文字、はたして花宮はこの人混みの中5分間も立っていられるだろうか。益々心配になった木吉は携帯を取りだしメールをうち始める。

「本当に大丈夫なのか?返事がなければそっち行くからな!」

小さいバイブ音が聞こえると花宮はそれに気づいたのか携帯を開いた。

(2ページ目に続く)


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