小説 | ナノ
骸髑「smilet」

 帰り際にボスに呼ばれて彼のお家に行くと、京子ちゃんとハルちゃんがいました。二人はいつもよりもっとにこにこしていて、それにボスもいつもより優しい微笑みを浮かべていて、どうしたのかなと私は思いました。けれど私がそれを口にする間も無く、二人に腕を取られて並盛の商店街へと行くことになりました。
 商店街ではまず始めに、ハルちゃん御用達の服屋さんに連れてかれました。そこで服を渡され試着室に押し込まれて着替えるように言われ、よくわからないままにとりあえず着替えました。試着室から出ると脱いだ制服をお店の袋に入れられて、お店を後にしました。
 次に向かったのは京子ちゃんの行きつけと言う美容院でした。鏡の前に座らされた後、服のカバーを被せられました。ちょきんちょきんと、前髪や後ろ髪を整えられました。そして少しメイクをされ、それが終わると真っ白なお花――蓮の髪飾りを付けられました。私たちからだよ、と京子ちゃんとハルちゃんは言いました。首を傾げる私に変わらずにこにこと二人は微笑んでいました。
 再びボスのお家に連れてかれました。そこにはビアンキさんがいて、パンプスを渡されました。これもまた言われるがままに履いてみました。玄関の鏡を見ると二時間前の私とは全く違いました。
 髪に蓮の髪飾り、唇にはピンクのグロス、青藍色のワンピースドレス、黒地に白のリボンが載ったパンプス。それらは、とても、可愛らしい物だと感じました。
 私の不安げな瞳に気付いたボスが、それは皆からプレゼントだよ、と言いました。そこでようやく私は明日が、あの日だと気付きました。皆のお祝いはとても嬉しかったけれど、こんなにしてもらって申し訳なくなりました。
 しょんぼりする私を見て、いつの間にか現れたリボーンくんが、これから来る奴のたむにも笑っとけ、と私に言いました。パチパチと瞬きをして、言われた通りに笑ってみました。
 そうしたら、ドアの向こうがとても賑やかになりました。ボスにお客様が来たのだと思いましたが、違いました。

「――それは、あなたでした」

 そうはにかむ彼女から、白い息がほうと出た。首からマフラーを取り彼女の首へとかけると、さっき会った時の強張った笑みが柔らかな笑みになった。そんな彼女の後ろ側でにやにやと笑うボンゴレたちがいた。
 夕方を過ぎて空も闇に染まった頃、獄寺隼人たちが来てボンゴレの所へ行けと言ってきた。いったい何なんだと、こっちには明日の用意があるんだ、と言うも、抵抗虚しく笹川了平の馬鹿力に引きずられここへと連れてこられた。

「――そうしたら、君がいました」


 骸は手を差し出した。クロームは目を伏せて右手を乗せると、後ろをちらりと振り返った。
 今度は自然と笑みが溢れていた。

「行ってきます」


 闇に白が溶けていった。



------
タイトルはsmileとmeltを足しただけのものです。

クロームちゃん、お誕生日おめでとう!みんなに祝福されてるといいな!
いや絶対にされてるね!
大好き!

(クローム受けカテゴリに骸髑がなくてこのCPにしたんだよびっくりしたわ)

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -