小説 | ナノ
ツナとバジル(+10)「我らが友情に、」

 今夜はここ、ボンゴレ邸でかなり大規模な宴が開かれている。ボンゴレファミリーの傘下や友好関係にあるファミリーが招かれた。自身ももれなく招かれたのだが別の仕事で少し遅れて足を運んだ。しかし着いて早々、リボーン殿から別室に行くようにと言われてここに来た。
 そこでは、空になった色とりどりの瓶がテーブルだけでなく床にまで転がっている。そのテーブルを挟んだ向こう側で、また一つ、ワインボトルが空き瓶になりかけていた。
 それを掴んでいたのは――

「だいたいさぁ、リボーンもいちいちうるさいんだよー……」
「はあ……」
「いっつもいっつも無茶苦茶言いやがってぇ……、尻拭いすんの俺だっつーの」
「それは、その、」
「バジルくんもそう思うだろー?」
「え、えぇ……まあ、」
「あーの狸親父めぇぇ、結婚はまだか結婚はまだかうるさいんだって、ほっとけよなぁ……」
「えっと、それは、どなたの話ですか……?」
「さっき会った、えっと、なんとかってファミリーの、なんとかって人!ほら、あれだよ、あーれ」
「……あ、あぁ、あの人ですね」

 ――見た通り、かなり酔っ払った沢田殿だった。

 自分がここに来たのは二週間ぶりでしかもパーティー会場には一歩も足を踏み入れていないから、彼が誰のことを言っているのかはもちろん全く分からなかった。
 口調ははっきりしているが、思考回路は随分と酩酊しているようだ。

「沢田殿、そろそろお酒は……」
「なーんーでーだーよー」
「かなり酔っ払ってるじゃないですか」
「お酒飲んで酔っ払うのはフツーじゃん!」
「そうですが、度が過ぎますよ」
「そうかなぁ……、てかバジルくんも一杯も飲んでないじゃんかー」
「一応、警護もあるので、」
「……もう」

 彼が机に突っ伏すと、頭がごつんと(しかもかなり大きめな)ぶつかる音がした。冷えたタオルを用意しなければと慌てて席を立とうとしたが、テーブルについた腕の服を引っ張られて阻止される。

「沢田殿?あの、額大丈夫ですか?」
「俺はさぁ、」

 突っ伏したせいでくぐもった声が聴こえてきた。声音は少し落ち込んでいるようだった。

「……はい」
「みんなと、飲みたかったんだよ、単純に。獄寺くんや山本や、お兄さんとか、雲雀さんとか、骸とか、クロームとランボは、まだだっけ?……まあいいや。せっかくだから、他にも呼ぼうかなって思ったんだ、ディーノさんや炎真とかも。バジルくんもさ、なかなか一緒にいられないじゃん。それなのに、気づいたら誰が仕向けたのか知らないけど、いつものパーティーになっちゃってさぁ、守護者は警護だから飲まないっつうし……もー、嫌になる……」

 服を掴んでいた手から力が無くなって、机に重力のまま落ちていく。

――そこにいたのは、ボンゴレ十代目ではなかった。

 僅かに残っているボトルを手にした。すると突っ伏していた彼の頭がのそりと上がる。そんな彼の前にあるグラスと、一度も注がれていない空いたグラスに残り僅かなワインを半分ずつ注いだ。

「最後の一杯だけ、付き合います」
「……うん、じゃあ、」

 ガラス同士の当たる音が部屋に響いた。


「「乾杯」」



─────
京、はぴば!
バジルくん久しぶりであばばばなったよあばばばばばば


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