最期を君と

「もしも世界が明日終わるなら、どうする?」

またドラマか何かに影響されたんだろう。ぷ、と吹き出せば真剣なのにと頭を小突かれた。

「なまえは?」
「んー、ルドガーと一緒に居たいよ」

何てへらりと笑うものだから。照れ隠しに抱き締めて頭をグリグリすればきゃっきゃと楽しそうに笑った。

▽▲

「……ルドガーと一緒に居たい。いい、かな?」

血濡れた地面。俺の手には真っ赤な槍と、その刃の先には俺と同じ顔が眠っていた。
拒む理由なんてなかった。君は彼女と同じ声で、同じ事を言うんだな。それが俺を苦しめる。

「ルドガー……? 聞こえてないか……ルドガー、あのね。世界が終るなら貴方といたいけどね、終わっても、また……」

そう言って横たわる死体を抱き締める彼女の心臓を一突きすれば、世界はあっさりと終わりを告げた。

「なまえ」
「おかえりルドガー、早か」

何か言いかけていたがその前になまえの小さな体を抱き締める。抵抗はされなかった。そのことにちょっと安心している自分もいる。すっぽりと腕の中に収まってしまった彼女がこんなにも愛おしい。

「ルドガー?」
「俺は、世界が終わっても。君と一緒に居たい」

わかったから。気付けたから。あの問題の答えと切なさを。
だから、あの日の返事を今ここで。