解決策

「はいっ、盾子様!」

これは私の口癖だ。一日になん十回何百回も口にする言葉。
彼女があれを欲すれば、私は口癖を言ってあれを用意する。彼女がそこに行きたければ、私は口癖を言ってベンツでお迎えにあがる。
全ては憧れの盾子様の為。

「なまえー」
「はい、なんでしょうか盾子様?」
「あんたが欲しい」
「はい、っ?」
「あんたが好きなの」
「……は、あ……え……」

やめてやめてやめてやめてやだやだやだやだだって恋なんて恋愛なんてうつつを抜かす余計な感情は彼女を殺すから汚いから汚い汚い汚い汚い盾子様には相応しくないいらないないない盾子様には必要のななななないそうだそうでしたそうなんだ。

「はいっ盾子様!」

崖の淵に立った私を彼女は口角を釣り上げて見つめていた。