幸せの証2

「おっそーい! もう、皆何してんのー?」

エレンピオスの駅。遊園地のキャラクターを意識しただろう藤色のカーディガンを羽織い、右手は腰に当て左手はGHSを持ってしかめっ面をするのはなまえ。待ち合わせの時間はまだあと五分あるんだけど。そう言ったら彼女はきっと「十分前行動でしょー!?」などと怒るだろうから言わない。

「おっはよーなまえ!」
「おはよ、エル。エルはちゃんと起きれた?」
「あたりまえですー!」
「流石私のエル! じゃあお寝坊さんはどっちー?」
「パパー!」
「あ! いがーい!」

ケラケラとヴィクトルを兄さん見て笑う。そして今日の格好にもツボに入ったのか持っていたGHSで撮影をし始めた。エルも一緒になって笑うものだから怒るに怒れないヴィクトル兄さんを横目にちょっとだけざまあみろ、と思った。普段のバチが当たったんだと。ただちょっと同情もした。

「さて、まー電車乗っとこうか。エル何か食べる? 結構時間あるから買っとかなきゃ」
「エルおかし食べたい!」
「それはパパに了承貰ってねー」
「パパおねがい! エル、おかし食べたいの……リョーショーください!」
「ぶっ」
「……ああ、いいよエル。ただし一つまで。それとご飯のあとに食べなさい」
「やったあ!」
「ぶふっ! って!」

おねだりするエルとそんなエルに甘いヴィクトル兄さんがおかしくてつい吹き出すと足を思い切り踏まれた。

「到着したらパパ猛ダッシュでチケット買いに行ってね」
「……何故私が。それと貴様にパパと呼ばれる筋合いは」
「パパよろしく!」
「…………任せなさい、エル」
「ぶふっ、いってえ!」