エレキロッカーズ!

「なあ、胸揉んでいいか?」

スパン、といい音をさせて、後からやって来た日向君が左右田君の頭を無言で叩いた。
それは私と唯吹ちゃんが二人で砂浜デートをしているところだった。

先日マーケットで採取をしている時に水着があるという事が発覚したので、こうして早速着てみたかった。
私は砂のお城を作り、それを唯吹ちゃんが何故か下から掘ったり削ったりしていた時の事。何やら日向君と左右田君が話してるなあと横目で見ていたらいきなり左右田君がこちらに来て、それを日向君は止める様子で左右田君の後を追ってこちらに向かってきたのだ。
そしたらこのピンクはなんて? おっぱい揉んでいいか?

「え、……駄目です」
「だろうな! ほら、諦めろよ左右田!」
「そこをなんとか!」

いや頭下げられましても。しかも今は水着という布一枚。余計馬鹿なんじゃないかと思う。制服着てりゃいいってもんじゃないけど。
構わなければいいのに唯吹ちゃんは「なんスか突然?」何て言うから。左右田君は真顔で「二の腕と胸の感触が同じらしいからちょっと試したくてよお」なんて言い出した。やはりコイツは馬鹿だ。

「なるほどよく言うっス」
「だろ!?」

危ないなあ。馬鹿二人は危ないなあ。
そう感じつつも声には出さない。私の優しさプライスレス。

「んじゃードーンっといっちゃって!」
「いや唯吹ちゃん? いっちゃってじゃないよね、背中押さないで」
「マジでか!? マジでいっちゃっていいのか!?」
「いいわけないだろ!? 左右田お前馬鹿か!?」
「馬鹿でいい。この時だけは馬鹿でいいから揉むぞ、俺は」
「馬鹿だね! すっごい馬鹿だ! 死ね!!」

本気で羽交い絞めしてくる唯吹ちゃんに本気で抵抗する。
馬鹿じゃないのかなあ。やっぱり唯吹ちゃんも馬鹿なんだなあ。ああもう死ね。いややっぱ死ななくていいから一回ヤシの実が唯吹ちゃんの頭に降ってきて気絶しないかなあ。

「唯吹のちっぱいじゃ堪能できないっすからね! 和一ちゃんいっちゃえいっちゃえ!」
「男、左右田和一、いっきまーっす!!」
「いっちゃえくない! いっちゃえくないい!! わあああ馬鹿馬鹿馬鹿、ほんと、やだ!!」
「やめろ左右田嫌がってるだろ!!!」

私を羽交い絞めして左右田の阿呆に差し出す唯吹ちゃんと興奮する左右田の馬鹿をこれまた羽交い絞めして止めてくれる日向くん。ああ、今第三者からはどう見えるのだろうか。
あ、勿論このあとウサミちゃんが助けてくれたよ。本当大好き!