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「白ちゃん、白ちゃん!」
「…僕は男ですよ」
「…じゃあ白!」
「何ですか、**」
6年前に出会った時のこと
君はまだ覚えていますか?
僕は今もーー…
6年前、僕は森の中である少女に出会った。
「!」
薬草を摘んでいると、視界に見知らぬ少女がいた。
誰なのか、どんな子なのかは全く分からない。 だけどとにかく悲しそうだ。
「…どうしたんですか?」
声をかけるとどうやらその少女は僕に気付いたようだ。 少女は微笑むがそれはどうしても本当の笑顔には見えない。
その理由は次の言葉によって理解された。
「みんな…お父さんもお母さんも死んじゃった……」
「……!」
泣きながらそう言って苦しそうにする少女。
おそらく僕より年下であろう。…僕が家族を失った時の事を思い出される。
この子は僕と似てる…そう感じられた。
泣くのを必死に堪えていたのだろう。 だけど少女の目からは大粒の涙。
僕はこの子と自分が似てる…そう感じた。
「…僕の名前は白と言います。君の名前は?」
「**……××**…」
「よろしくお願いします、**」
これが僕と**との最初の出会い。
この時僕は××一族の事なんて全く知らなかったんだ。
「ねぇねぇ白!」
「何ですか?」
「あのね…」
それから数日間、僕達は毎朝同じ場所で会い同じ場所で別れた。 毎日他愛のない話ばかりだったけど僕にとっては幸せだった。
そんなある日ーー…
「白…私、…必要ないのかなぁ…」
「……え?」
不意に君がそう言った。 聞き間違いだと思いたかったが確かに**はそう言ったのだ。
「…何でそう思うんですか?」
「…私が強かったらみんな護れたかもしれないのに…! みんな、私を護ったから……私がいなかったら…!」
「……………」
なんてことを言うのだろう、この子は。
先日この子は僕に似ている…そう思った、けどそれは間違いなのかもしれない。
何故ならこの子は………
「君は一族に護って貰ったのに命を捨てるんですか?」
「……!」
そう言うと目を見開いてハッとしたような表情になった。 そんな彼女に僕は言葉を続ける。
「…"護る"と言うのはその人に生きてほしいから護るんです。 きっと**のご両親は自分を犠牲にしてまで**を護りたかった、生きてほしかっんです。
その想いを…無駄にする気ですか!?」
ちゃんと愛されているのだから。
自ら命を捨てる、そんなことあってはならない。
「、……白…ありがとう」
泣きながらもそう言う**。 強く言い過ぎてしまったかもしれない。
でもちゃんと分かって欲しかったんだ。
その後、僕らが別れることになるのもすぐだった。
理由は再不斬さんのこの場所からの移動だった。
何も言わずに別れてしまったけど……
6年後、再び会うときが来ることを僕らはまだ知らない。
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