(1/1) 「お兄ちゃん、行こう!」
「…おー」
今日はお兄ちゃんとディーノが来た週の土曜日。
みんなで歓迎パーティーでもしようかって話にもなったんだけど、みんなが「兄妹で過ごしなよ」って言ってくれたからお兄ちゃんと今日は過ごすことになった。
て言っても並盛を案内するだけなんだけどね。
「俺ここ行きたい」
そう言ってお兄ちゃんが指を指したのはラ・ナミモリーヌ。 並盛ですごく人気のケーキ屋さん。
こないだ京子とハルちゃんに紹介されたんだけどすっごい美味しかったの!
「ここすっごい美味しいんだよ! …でもお兄ちゃん、ケーキ好きだっけ?」
「気分だよ気分」
「ふーん。じゃあ入ろっか!」
その言葉が合図のように私達はラ・ナミモリーヌに入った。
中から香る甘い香りに顔が綻んでしまう。
「どれにしよっかな〜。ショートケーキにチーズケーキにシュークリーム…」
「太るぞ」
「ひどい!」
そう言いながらなんだかんだでケーキを選んでいるお兄ちゃん。
何だかお兄ちゃんとこんな風に過ごすなんて嬉しいな。 …本当は家族みんなで過ごしたいんだけどね。
ま、とにかく! 今はケーキが食べたくて仕方がない。
会計を済ませてこれから食べると言うワクワクな気分をしていたのだが、それは一気に冷めることになった。
「げ…!」
何故なら前方の方に見覚えのあるリーゼント軍団がいたからだ。 店員さんもお客さんもかなり驚いている。
その中の一人が私に気づいた。
「**さんじゃないですか!こんにちは!」
「こ、こんにちは。草壁さんもケーキ買いに来たんですか?」
その中の一人とは草壁さんだった。
つまりこのリーゼント軍団は間違いなく並中の風紀委員だったのだ。
「はい、委員長へと思いまして…。ところでこちらの方は?」
草壁さんが指したのは隣にいるお兄ちゃん。 そっか、みんなは知らないのか。
「私の…」
紹介しようとしたその時、背後から聞き覚えのある声が聞こえた。
「草壁が遅いから咬み殺しに来ようと思ったんだけど…まさか君がいたとは」
「ひ、雲雀さん…!」
「委員長!」
そこにいたのは雲雀さんだった。 どうやら草壁さん達を待っていたらしい。
相変わらずトンファーを持ち構えている。 本当に草壁さんを攻撃するつもりだったのかな…。
…そう考えるとやっぱり雲雀さんは恐ろしい。
「…随分待ってるんだけど。早くしてくれない?」
「は、はい!今から買ってきます!」
脅しのように聞こえてしまうその言葉に 草壁さんは急いで他の風紀委員達を連れて会計を済ましに行った。
そんな様子を見ていると雲雀さんが私の方へ視線を映したのだ。
「君誰?場合によっては咬み殺すけど。」
さっきの草壁さんのように指されているのはお兄ちゃん。
そしてまた雲雀さんはトンファーを構え出す。
慌てる私に冷静なお兄ちゃん。 お兄ちゃんは動じもせずに答えた。
「俺は××流。**の兄だ。」
「、……兄?」
それを聞いた途端、雲雀さんの手が止まった。 かなり驚いているのが見て分かる。
……そんなに驚くことかな?
「**、兄いたの?」
「はい、離れて暮らしてたから久しぶりに会ったんです! ちなみにお姉ちゃんもいますよ」
「ふーん…」
どこか安心したような、興味があるような無いような、そんな表情をしている雲雀さん。
だけど持っていたトンファーへの力は弱まっていたのでとりあえず一安心だ。
「委員長!買ってきましたよ!」
そのタイミングで先ほど会計に行った風紀委員さん達が戻ってきた。
雲雀さんは一度息を吐いて私に言った。
「じゃあまた学校でね、**。 まぁ兄妹で並盛を楽しみなよ」
そう言って雲雀さん率いる風紀委員達は出て行った。
結局なんだったんだ…。
「なぁ、今の知り合いか?」
「う、うん。お世話になってる風紀委員の人達だよ!」
「え、**って風紀委員なんだ?意外…」
そんな他愛のない話をしながら、ケーキを買うのは済ませたので家に帰ることにした。
ケーキをたくさん買ったため、みんなで食べることにしたのだった。
「うわっ、やべぇ…めちゃくちゃ美味い!」
「でしょー?ってお兄ちゃん!私の分まで食べないでよ!」
「流も**も喧嘩すんなよ〜!」
「(ディーノさんも何だかんだ流さんの奪おうとしてる…)」
その後ケーキ争奪戦があっただとか…。
end
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