黒曜編 | ナノ




「ここだ」



黒曜ヘルシーランドに向かった俺達は無事着くことが出来た。

だけどそこはかなり不気味な場所で、建物は崩れてもうぐしゃぐしゃだったのだ。


ここは昔黒曜センターっていう複合娯楽施設だったらしく…

そういえば俺、昔ここに来たことがあるような気がする。


リボーンが言うにはここはどうやら一昨年、
台風による土砂崩れがあったため閉鎖されこの状態らしい。





「…本当にこんなとこに杏は行ったのかな…」



なんだか不安になってくる。

果たしてこんなに不気味で訳の分からないところに杏は乗り込んだのかな?
それも一人で…。


俺はそう不安気につぶやくと返ってきた返事はみんな同じだった。




「それなら乗り込むしかねーだろ」

「リボーンさんの言う通りっすよ10代目!」

「そうだぜ、ツナ!」

「正面突破に決まってるじゃない」




みんな杏の行方を知ろうと、六道骸を倒そうと必死だったのだ。



そうだよな、杏の行方を掴むために



骸を倒すために頑張るんだ





俺達は中に入るため、サビきっている鍵にビアンキのポイズンクッキングが炸裂した。

そのおかげで黒曜センターに入り込むことができ、奥の方へと進んで行ったのだ。


中に入り、奥へ奥へとに進んで行くけれど景色はあまり変わらない。

壊れかけた建物やオリなどが散乱していた。


だけどよく見るとオリは食いちぎられていて、近くの木が何かの歯形によってえぐられていた。

ここに何かいるのか…?




「気をつけてください、何かいる!

…後ろだ!」



獄寺くんの声を聞き後ろを振り向くと、真っ黒な犬が山本を襲ったのだ。






「うわああっ!」



すると山本はその犬達の勢いによって近くの落とし穴のようなものに落ちてしまった。

みんなでその穴を覗くけれど下との距離はだいぶある。


山本はいつものように呑気そうに笑っていた、が…

俺は山本の右方向に動くものを見つけた。




「山本っ!右に何かいる!」

「!」



あれは何だろう。

少しの間はそれが何なのか影でよく見えなかったけど、それが動いて影を脱したため、何なのかはっきりと見えた。


それは…




「カンゲーすんよ、山本武」



黒曜中の制服を着た金髪の男…人間だったのだ。
そいつは山本の名前を知っていた。


ん?黒曜生で山本のことを知ってるってことは…




「なー、お前杏って奴知ってるか?俺達今その子を探してんだ」




すると山本は俺と同じことを思ったらしく、それをそいつに聞いていた。

…いや、山本だけじゃないか。
みんなそう思うよな。


とりあえずこいつが山本の名前を知っていた時点で敵だってことは確実だ。

ということはもし杏がここに来たのならこいつは杏のことを知っているはず。


そう思って山本の問いかけに対する敵の答えを待っていると返ってきた答えは意外なものだった。




「杏…?お前ら杏探してんの…?」

「「「「!」」」」



それはこいつがあたかも杏のことを知っているような言い方だった。

しかも山本が杏の名前を言った瞬間、雰囲気が一気に怖くなるし…。


一体何だ?

こいつは杏のこと知ってるの?




「!杏のこと知ってんのか!?」

「知ってんも何も杏は…」



山本がそう聞くと敵は意味深な発言をして言葉を濁している。

表情は見えないけれどその言い方は何か怒っているような、苦しんでいるようなそんな風に聞こえた。




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