俺様と私 | ナノ
今日ほど運の悪かった日は今まで16年間生きててなかったと思う。
「お、おはようマナちゃん」
「おはようヒナタ!」
「な、なんか今日は嬉しそうだね?」
「うん!あのね?」
通学路でヒナタに会った。
そして挨拶をするとヒナタに私がルンルン気分でいることがバレてしまった。
なんで嬉しそうかって?だってね…
「今日ね!朝の占いで1位だったのー!」
朝、テレビでやる占い。
私の星座がなんと1位だったのだ。
たかがこれだけのことと言われればそうなんだけど、でもやっぱり気分が違うはず。
だって12位だった日なんてどん底にいる気分だもの。
「そうなんだ…!いいことあるといいね」
「うん、ありがとう!」
ほんと、いいことあるといいなぁ。
そう思いながら私達は学園へ向かってく。
そう、今日は占いで1位だった。
正直テレビでやる占いなんてアテにならないかもしれない、でも…
だからこそ、まさかこんなに運のない出来事が起こるなんて思いもしなかったんだ。
昇降口に着いた私達は靴を履き替えるため靴箱の戸を開ける。
「う、うん…?」
だけど私の靴箱はなかなか開かなかった。
靴箱を開けようと戸の持ち手を引っ張っているんだけど開かない。
ああ、そういえば私の靴箱前から開きにくかったんだっけ。
先生に言って直してもらおうって思ってたんだけどいっつも言うの忘れてた。
「うう…!」
「マナちゃん…大丈夫?」
なかなか開かないので両手で引っ張ってみた。
すると…
バンッ!ドゴッ!
やっとのことで開いたのだ。
「や、やっと開いたー…」
…ってうん?『ドゴッ』?
なんでドゴッって音がするの?
ふと開いた戸を見るとそこには
「あ、え、あ…」
「…………」
なんとクラスの…いや、学園のアイドル、サスケくんがいた。
サスケくんは右頬を赤くしている。
軽く何かの跡がついている。
そう、これは間違いなく私の開けた靴箱の戸が、勢いよくサスケくんの頬にぶつかってしまったのだ。
「わ、ご、ごめんなさい…!」
「…チッ」
どうしよう、そう思いながら謝るけれど、サスケくんは舌打ちをしてこの場から去っていってしまった。
え、どうしよう。
サスケくん…絶対怒ってたよね。
もともとクラスが一緒とはいえほぼ関わりのなかったサスケくん。
多分私が同じクラスかどうかなんて彼は覚えてないかもしれない。
それくらい女の子に興味のない人だから。
でも女の子には大人気で学園のアイドルだ。
そんな人を意図的ではないとはいえ靴箱をぶつけて怒らせたなんて…
「(なんかすごく怖い…)」
やってしまった感満載だ。
…あーあ、朝からついてないな、私。
さっきまでルンルン気分だった私は今はどん底の気分だ。
…いやいや、こんなとこでテンション低くなっちゃダメだ。まだ朝だもん。
きっとこの後いいことあるさ!
そう前向きに考えた私。
ヒナタは心配そうに私を見るけれど、きっと大丈夫!
そう思いながら教室へ向かった。
だけどこれだけじゃ私の不運な出来事は終わらなかったんだ。
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