日常編 | ナノ



「貴様ら退学だ―っ!!」




そう言われたのはたった今の事。
今、私とツナと獄寺くんは校長室にいた。



「しかしですな、いきなり退学に決定するのは早計すぎるかと…」



校長先生は穏やかに私達の退学を取り消そうとしている。
退学をさせたがっているのは理科担当の根津先生だ。

なぜこんな事になっているかと言うと…






それはついさっきの理科の時間の事。
理科の時間ではテスト返しをしていた時だ。

テスト返しだけだったら普通に終わるはずだったのに根津先生は嫌味ったらしく、
少し点数が低かったツナのことを馬鹿にしてきたのだ。

別にテストで全てが決まるわけじゃない。
それに教師という立場で生徒の事を馬鹿にするなんてあってはならないこと。

それに反発した私と獄寺くん。
それにより私達は校長室に連れてこられてしまったのだ。



「だけど先生がいけないんじゃないんですか?
先生が生徒を馬鹿にすることなどあってはならないはずです」

「…柚木、お前には関係のない話のはずだ。
お前はこいつらに言わされているだけだろうから教室に戻っていいぞ」



何を言ってもこう言い返される。
これじゃあきりがない。


話を進めていくうちにどうやら根津先生からの退学までの猶予が与えられて、
それは校長先生が15年前に埋めたタイムカプセルを探し出すことだった。


こうしてこの場は終わり、私たちは校長室を出てタイムカプセルを探し始めたのだ。






「あーあっ特に情報も何もないやぁ…」



あの後、私達は二手に別れた。
外でタイムカプセルを探すツナと獄寺くんと校舎内でタイムカプセルを情報を集める私。

って言っても情報を見つけるには誰か先生に聞かないといけないんだよな。


そう思っていざ職員室の前に来てみると中から先生達の声が。

よーく聞いてみるとこれは明らかに根津先生の声で誰かと話していた。
その会話は信じられない内容だった。



「しかし根津先生も悪いお人だ。埋まってもないタイムカプセルを掘り出せなんて」

「悪いのは校長ですよ。15年前は例外的に埋めなかったのを覚えてないんですから」

「(え!?何それ…!)」



この話が本当だとすると私達が今やっている事は一体何なんだ。

そう思いながらとりあえず私はこのことを校庭にいるツナ達に知らせることにした。








「ツナっ!獄寺くんっ!」



急いで伝えるために2人がいる校庭に着くと、校庭は悲惨な状態になっていた。

地面は割れていて煙がモクモクと出ている。
状況的には多分ツナが死ぬ気になり、獄寺くんがダイナマイトでカプセルを探していたのだろう。

並中ほとんどの生徒が教室の窓から校庭を覗いていた。



「獄寺と沢田だな!グラウンドで何をしているかーっ!即刻退学決定…!?」



この騒ぎで根津先生は校庭に出てきて都合よく2人を退学にしようとした。

しかし獄寺くんに出されたものによって何も言えなくなってしまったのだ。

なんとそれは…



「根津銅八郎…2点?」



根津先生のテストだと思われるものだった。
2点って…え、何これ。



「あぁ、そうだ。何でエリートコースのお前のテストが平凡なうちの中学のタイムカプセルに入ってるんだ?
しかもこの点数。んだこりゃ!?」

「そ、それは…」



答えられずどもる根津先生。

結局、根津先生は東大卒と言いながら実は5流大学卒で
学歴詐称で解任になったのだった。




その後再び校長室に呼ばれ、退学はなしになった。



「はー良かった、退学にならなくて」

「やだなぁ10代目。マジで心配してたんですか?
そんなことこの俺が命にかえてもさせませんよ!」



ツナはホッとしていて、そんなツナに獄寺くんは頼もしい言葉をかけていた。

でももともと中学は義務教育だから退学には出来ないと思うけどね、うん。



「獄寺くん頼もしいなぁ」


ボソッと私が思った事を言うと獄寺くんに聞こえていたようで、喧嘩腰で言い返してきた。



「はあっ!?…お前に言われても嬉しくねぇっつーの!」

「なっ!別に喜ばせたくて言ったんじゃないし!」

「…っお前…!」



言い返せなくなったのか、獄寺くんは黙ってしまった。
なんか獄寺くんと話すといつも喧嘩になっちゃうような…。

そんなことを思っていると獄寺くんのポケットから1枚の紙が落ちてきた。
それは…



「ひゃ、100点!?」



なんとそれはテスト用紙だった。
その1枚に続いて数枚出てきたが全部100点のテストだ。



「すごすぎ…」

「ほんとほんと…尊敬する…!」



うん、ほんとにすごい。
獄寺くんって頭よかったんだ。
ちょっと意外だ。

…私この理科のテスト出来なかったんだよなぁ、。



「いや…杏、それでも十分だから…(70点で十分でしょ)」

「え、そうなの?」

「だって…イタリアには理科とかないのに…」



ツナの顔は青ざめたままだ。
確かにイタリアには理科はないけど…だったら獄寺くんはどうなるんだ。



「ははは…なんか俺…どうしよう」



するとツナは脱力したように力が抜けていた。
青ざめた顔で苦笑いをしている。



「ツナ、しっかり!だったら今度一緒に勉強しよう?」

「…ほんと?じゃあ今度教えてほしいな!」

「うん、もちろん!」




嬉しそうに、ホッとしたようなツナ。

今度は一緒に勉強するから、テスト頑張ろう!



こうして今日は、退学騒動が起こった一日だった。




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