日常編 | ナノ




「ディーノ、お兄ちゃん!キャバッローネのみんなも…」



そう、その足音と声はディーノ率いるキャバッローネファミリーのものだった。
それも数人じゃなくかなりの人数が入ってくるものだからビックリだ。

一体どうしたのだろう。




「こんにちは、跳ね馬ディーノと……流兄」

「よろしくな。しかしこいつに慕われるたあたいしたもんだぜ、ツナ。なあ、流?」

「ああ、そうだな…」

「……?」



なんだか少し違和感を感じる。

フゥ太くんがお兄ちゃんを呼ぶときのあの間とお兄ちゃんの今の反応の鈍さにだ。

ただの気のせいかな。

それを誰も何も聞く間もなく会話は進んでいく。




「フゥ太、あるマフィアのランキングを用意してほしい」



ディーノはフゥ太くんにそう言った。

どうやらディーノ達はフゥ太くんにランキング依頼をしにきたみたいだ。
報酬のお金も用意していたディーノだが、フゥ太くんは受け取らなかった。

何故ならディーノが住民を大事にしているランキングで1位だからだ。

ディーノは嬉しそうに喜んでいる。
うん、なんだか分かる気がする。



「「(なんか納得…)」」


「フゥ太」




おそらくみんな納得しただろう。
そうしてディーノ達が引き返そうとしたその時、お兄ちゃんがフゥ太くんを呼んだのだ。




「何?流兄」



そしてお兄ちゃんはフゥ太くんの目線に合わすため腰を落とし、フゥ太くんしか聞こえないような声量で言った。




「杏と俺、そして柚木咲に関するマフィアの情報は…

杏に漏らさないでくれ、頼む…!」




お兄ちゃんは必死に懇願して頭を下げている。

何を言っているか分からないけど…お兄ちゃん、何を頼んでいるのかすごく気になる。




「頭なんか下げないでよ、流兄!

もちろん言わないよ。
だって流兄は家族を大切にするランキング1位だもんね!」

「…ありがとな、フゥ太」




そう言ってお兄ちゃんはフゥ太くんの頭の頭を撫でた。
フゥ太くんは撫でられていて嬉しそうだ。

お兄ちゃんは安心したような表情を見せていた。



「じゃあな杏、ツナ。またな」

「はい、また!」

「う、うん……」




そしてお兄ちゃん達キャバッローネファミリーは皆去っていった。



私はお兄ちゃんの不思議な言動が疑問に残っていたけど、聞かずに終わった。

いや、聞けなかったのかもしれない。
 

お兄ちゃんとフゥ太くん…なんだったんだろう。



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