「…で、雲雀さん…。看病だなんて一体何すれば良いんですか?」
「寝る」
「はっ?」
私が驚きの声を上げた時にはもう雲雀さんは布団の中。
いやいや、私看病してくれって今頼まれたのに。
「あの…」
「じゃあ僕は寝るから起こさないでね。 ちなみに僕は葉が落ちる音でも目が覚めるから」
「(はいーっ!?)」
何て理不尽でひどいんだ。 意味が分からない。
いや、雲雀さんが理不尽だってことも知ってたけどさ!
とりあえずどうすることも出来ないので私はベッドの隣の椅子に腰掛けることにした。
「…………」
「………………」
もう眠ってしまったのだろうか。 目を閉じて規則正しい寝息が聞こえる。
こう…改めて見ると雲雀さんって本当綺麗な顔してるよね。 睫毛長いし髪サラサラだし…。
そんなことを考えていると何だか眠く………。
私は壁に体をもたれて目を閉じていた。
「……」
それから数時間後。 先に目を覚ましたのは雲雀だった。
雲雀は起きてすぐに壁にもたれている杏が目に入った。
「…………」
雲雀はしばらく杏を見ていたが、 やがて起き上がり杏の頭へと手をやった。
そしてゆっくりと撫でたのだ。
「…ん……」
するとそれによってなのか杏は目を覚ました。
「えっ…。ひ、雲雀さん!?」
目を覚ますと雲雀さんが目の前にいて。 私の頭に手を置いていたのだ。
私はそれに気づくとはっと起き上がる。
「あぁ、起きたんだ」
「起きた…じゃなくて何してるんですか!」
え、まさか頭撫でられた? なんで…?
そう思うとなんだか頬が熱くなる。
そんな私とは対照的に、雲雀さんは淡々と話す。
「何って…見て分からない?あぁ、もしかして照れてるんだ?」
「…っ!か、からかわないで下さい!」
そんなことを言われて更に顔が熱くなる。
だいたい何でこんなことをされているのだろうか。
照れてるってそんな… だいたい雲雀さんが撫でたりなんてするから…!
そう思っていて視線を泳がせていたその時、私は壁に掛かっている時計に目が入った。
え、ちょっと時間…!
「…ってもうこんな時間じゃないですか! 私そろそろ失礼します!」
「は…?ちょっと…」
時計が指している時刻は午後6時過ぎ。 私は急いでこの病室を出て行った。
嵐のように去って行った私に対して雲雀さんはかなり唖然としたようだ。
「…つくづく面白いね、杏は。(でも何であの時僕は…)」
そんな雲雀は自分が##NAME1##の頭に触れたことに疑問を持っていた。
それから急いでツナの新しい病室に向かう私。
普通の面会時間は7時までのためあんなに急いだ。 …よく考えるとそこまで急ぐ必要はなかった気がするなぁ。
「(…っ何で雲雀さん……私に…)」
ツナの病室へ向かう最中、どうしても雲雀さんが私にした行動が気になる。
雲雀さんの行動に対しての疑問と、それへの頬の熱さはしばらう消えなかった。
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