そんな迫力のある試合。 劣勢だったツナが死ぬ気弾を撃たれ、一気に優先になる。
「ツナー!頑張れ!」
この時私は試合に夢中になりすぎていて、さっき雲雀さんが言っていたことは忘れていた。
死ぬ気になったツナは武、隼人、了平さんが作った騎馬に乗る。
あれっていいの? …あ、そっか。
「総大将は地面につきさえしなければいいんだ」
だんだんと焦り出すB・C組。 ツナ率いる騎馬はどんどん攻めていってるし…このまま勝てるんじゃないかな。
そう思ったその時だった。
「え、あの人達何して…」
なんと隼人と了平さんが喧嘩をし出したのだ。 ツナの乗る騎馬を支えてるのに。
だから簡単に騎馬は崩れ、ツナは地面についてしまったのだ。 その様子はみんなを沈黙にさせた。
「……………」
ねぇ、ちょっとこれは…。
沈黙が続く中、雲雀さんはそれをつまらなそうに見る。
そしてツナは今、死ぬ気状態から正気に戻っている。
「(ま……負けちゃった〜!!)」
「おいおい、敗軍の大将がただで帰れると思うなよ。 オラ、やっちまえっ!」
え、どうしよう。
そう言ってB・C組の生徒達が反乱を起こす。 そしてそれに反するA組。(中心として隼人、了平さん)
ダイナマイトの爆発があったりとこれは体育祭ではなく大乱闘だ。
「………ねぇ、京子…」
「何?」
私はコソッと隣にいる京子に話しかける。
きっと私は驚きの表情を超えて若干青ざめているだろうな。
「日本の体育祭ってこんなに過激なの?」
「きっとこれ何かの出し物だよー!」
「あぁ、なるほど!」
なるほど! 出し物だったら納得だ。
…これが誤解だなんて私は知らなかった。
そんな時、背後から私の名前が呼ばれた。
「雲雀さん!?」
私を呼んだのはB・C組側にいたはずの雲雀さんだった。 何故私のところにいるのだろうか、そう思ったけど雲雀さんからは不機嫌なオーラが出ていたため、それを聞くことが出来なかった。
そして雲雀さんは話し出す。
「何で僕の応援しなかったの」
「…へ?いえ…しましたよ?」
「声が小さい。何で草食動物にはちゃんとして僕にはしないんだい? それに途中からしてなかったじゃないか」
「(何で知ってるの!?どれだけ地獄耳なんだ…!)」
この時私は雲雀さんの恐ろしさを更に知った気がした。
「杏、落とし前として片付けはきっちり働いてもらうからね。 もちろんこれからも」
「(鬼だぁぁああ!!)」
ああ、もう鬼だ、雲雀さん。 雲雀さんはそんな私を見てニヤリと笑っている。
私の体育祭の締めは風紀委員の仕事で終わったのだった。
next
prev (しおり) next
back
|