日常編 | ナノ




ここ並盛中学では縦割りにつくられたA・B・C組の熱き戦いが繰り広げられていた。



「ゴール!」



只今の種目は男子リレー。
アンカーだった武が見事ゴールをしたの。



「やったーっ!武おめでとー!」



次の種目の待機場所から思わず叫んでしまう私。
武も同じリレーに出てた人もみんなすごく嬉しそうだ。

そんなみんなの中心にいる武に聞こえたのかな、目が合うと笑顔でこっちを振り向いてくれた。



「サンキューな!杏も女子リレー頑張れよー!」

「ありがとー!頑張るからねーっ!」



よーし、頑張ろう。

そう叫び返すと間もなく女子リレーの番になる。
たくさんの歓声の中聞こえてくるのはよく知っている人達の声。



「杏、頑張れ〜!」

「ケッ10代目のためだ、負けたら承知しねーぞ!」

「極限!敵など蹴り倒してしまえばいいのだ!」

「ランボさんがこれ投げて杏に勝たせてあげるもんね〜!」



たくさんの応援が聞こえる。

てかツナと隼人は普通の応援だけどさ…了平さんのは絶対ダメでしょ!

それにランボくん!
手に持ってるものは手榴弾だよね!?本当にやろうとしてるよ…。


自然と青ざめていく気がする、私の顔。

そう思いながら別の方向を見てみるとそこには



「杏、頑張って!」

「あんたなら大丈夫よー!」

「杏ちゃーん、ハルが応援してますからねー!」

「杏、頑張りなさい」

「杏ちゃん頑張ってー♪」




女子の皆からもたくさんの応援が聞こえた。
ああ、こっちの応援はなんて心が安らぐんだ…!

顔の青ざめが一気に引いてる気がする。



「(さーて、頑張りますか!)」



もう一度応援の方を向くとツナがランボくんを抱っこして手榴弾をしまわせていた。

手榴弾投げないんだよね、良かった。


ホッとしているうちにパァン、とピストルが鳴り、一番手の人が走り出した。





トップのペースで走り続けているA組。

アンカーは私。
このままいけば大丈夫だろう、そう思っていたその時にランナーの子が転んでしまったのだ。



「!」



リードしていたA組は一気にビリになり、誰もがざわついてしまう。
転んでしまった子は苦しい顔をしながらも最後まで走ってくれた。



「杏ちゃん!」

「あとは任せて!」



パシッとバトンを受け取って全力で走り出す。

あとはまかせてなんて言ったけどトップとは半周弱の差。
追いつけるのか不安になってきた時、ある言葉を思い出す。



「(あー…そういえば雲雀さんが私は逃げ足は速いって言ってたなぁ…逃げ足…)」



それを考えると私は…





「うわあああああっ!!」




追いかけられている、という想像をした。
もちろんトンファーを持った雲雀さんから。



「!?なんで杏悲鳴あげてんの!?」

「む、だが極限に速くなったぞ!」

「杏ー!」

「頑張ってー!」



前の方にいたランナーの背中はだんだんと近くなり、そしてついに…




「ゴール!」


胸下に感じるゴールのテープの感じ。




「や…やったーっ!!」



私の喜びが始まりのようにA組の人達から歓声が沸きあがった。



「杏っ!」

「わぁっ、京子と花!」



京子と花はゴールのもとまで駆けつけてくれた。
それに続いてツナ達も来てくれた。



「お疲れ様、杏」

「ありがとう!」



ツナに言われて改めて顔が綻んでしまう。

わざわざ来てくれたってだけでも嬉しいのに。



「にしても極限に速かったな、柚木!すごかったぞ!
しかしなぜ悲鳴などあげてたんだ?」


「あぁ…。雲雀さんにものすごい勢いで追いかけられるところを想像してたんです」




その言葉に全員無言になったのは言うまでもない。


ここで午前の部は終了したため、お昼時間になった。



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