日常編 | ナノ



同時刻、ツナの部屋にて



ボンッ



10年バズーカという武器を使ったランボ。
撃たれた者が5分間だけ10年後の世界に行き、代わりに10年後の撃たれた者が今俺達がいるこの世界(10年前)に来るというなんとも不思議な現象。

それをランボは手が滑って杏に撃ってしまったのだ!





「おい!お前、なんで杏を撃ったんだよ!」

「オ、オレっち知らないもんね〜!」




ランボはそう言うと俺の部屋を出て行った。
多分リビングにでも行ったのだろう、母さんいるし。
……逃げたな。


そう思ったと同時にランボが撃ったバズーカからの煙はだんだん消えて、見知らぬ女の人が目の前に眠っていた。

目が覚めたその人は不思議そうに俺の部屋を見渡している。




その人はすごく綺麗な人で。


ゆるやかにウェーブしている茶色くて長い髪、吸い込まれそうなほどの綺麗な瞳…




「杏…だよな?」




見た目からもそう、それに10年バズーカの効果的にもそう。
この人はどう見ても10年後の杏だ。




「……っツナ!リボーン…!」



杏はしばらく俺達の方を見ていたがやがて俺に抱きついてきた。

いつもなら驚きすぎて混乱状態になる俺。いや、今も少しは混乱してるけど。

だけど今回は驚き以上にどうすればいいか分からなかった。


杏が俺の胸で泣いていたから。



10年後で何があったのかは分からない、でも…


確実に良い事ではないと思う。





「…っ…もう、みんな一緒じゃないの…!
一緒にいたい…一緒にいたかったよっ…!」



その悲痛な言葉が嫌でも胸に焼き付いてくるのが分かる。



10年後の世界がどんななのかは分からない。


でも……



「だったら俺がそんな未来、変えてやる」



心からそう思った。


それがマフィア的な意味なのか、それとも日常的な意味なのかは分からない。
そもそも俺はマフィアになんかなる気はないし。


でも、大切な友達が悲しむ未来なんか嫌だから。






「…ツナ、ありがとう……」




ボンッ



5分が経ち、杏は元の杏に戻っていた。

10年後の杏が最後、泣きながらも微笑んでくれたのは絶対に忘れない。



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