ケーキを焼いてみた、化粧をしてみた、かわいい服を着てみた、貴方に会いたいと思ったけど今日は会えないと言われてしまった。誕生日なのに部活なんだ、大変だねって言ったらふっと貴方は笑って「お前と遊んでるよりも部活の方が楽でいい」って。あーあ、あたし本当に貴方の彼女なのかなあ。

ねえ、蓮二はあたしのこと好き?ねえ、ねえ、ねえ‥。

何度も夢をみる。貴方にあたしに気持ちがあるのか確かめてる夢。そこで好きだと言ってくれたらいいのに、貴方はふっと笑ってすぐに消えてく。あたしと一緒にいても楽しくないの?あたしは一緒にいたいよ、ねえ。あたしのことちゃんと見えてる?目が細いからとかそういうのじゃなくて、あたしのことちゃんと見てくれてる?貴方はすぐにあたしを突き放そうとする。あたしはそれを追いかけて追いかけて、それでも貴方には追い付けないよ。どうしてだろう、こんなに好きなのに。

真っ暗闇の中で貴方に抱かれたあの日だって貴方はあたしの目を手で覆い隠したね、あたしは真っ暗の中貴方があたしを愛してくれてるのが嬉しくて幸せで痛いのだって忘れちゃった。初めてだったの、あたし。貴方はどうか知らないけど。あたし貴方のこと何にも知らないみたい。付き合ってるのに。今日だって貴方の誕生日なのにあたしは貴方の隣じゃなくてなんで部屋にいるんだろう。泣きそう、泣かないけど。

あたし、貴方の彼女なのかな

あたしは貴方に何もしてあげれない。貴方から受け取るモノはたくさんあって、貴方からあたしに与えてくれるモノはもっとあって。だけど貴方はあたしを受け入れようとはしないの。こんなに好きなのに好きだ、って思い切り伝えることしか出来ないの。

ベッドにずっと横たわっていると日が過ぎるのが早かった。あたしがぼーっと貴方を想って泣くだけでいつの間にか外はあのいつの日かのように真っ暗闇。貴方は今頃、みんなとわいわいお誕生日パーティーでもしてるのかな。ああ、また泣けてくる。貴方と付き合ってからあたしは涙脆くなったんだ。貴方はすぐにあたしを女の子にさせてしまう。意図も簡単に。先程から何度も何度もピカピカ光る携帯をあたしは手に取る。

゛外に出て来れるか゛

あたしはすぐに外に飛び出した。お母さんがなんと言おうとも関係なかった。貴方に、会いたい。ただそれだけでしかない。玄関を出たら貴方がいた。あたしはすぐに蓮二に抱き付いた。抱き締め返してくれる腕が優しくて、少し汗の匂いがするのも愛しくて、いつもの匂袋の香りが涙を誘った。

「‥すまない」
「いいの」

誕生日なのに会いに来てくれてありがとう、みんなに誘われたでしょう?ごめんね、あたしのせいで。疲れてるのに、ごめんね。

「大好き、誕生日おめでとう」

ぎゅっと身体を抱き締めると蓮二はいつものようにふっと笑った。

「ありがとう」

蓮二の彼女で、あたしは幸せ


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