※社会人設定


私も私の家族も唖然としている。休日なのにスーツの真田にも驚いたが、ドアを開けた瞬間に緊張した面持ちの真田がいきなり思い切り頭を下げたんだから。私は近所に変な噂がたっちゃいけないと真田を家へと上げた。部屋へと誘導しようとしたが真田が両親に挨拶をするなんて言い出したからリビングに行くことにした。丁度父親も母親も家にいるし。そしてリビングへと行くと少し不機嫌な父親が出迎えくれた。母親はそれを見ながら“あらあら”なんてドラマのような台詞で父親の前にお茶を置いた。真田が咳払いをして父親に真っ直ぐと目を向けた。明らかに父親は不機嫌そうに真田を見ている。これはまずい。

「真田、やっぱり今日は‥」
「言わなければならないとは思っていました」

そう言うと真田は私に目を向ける。隣へ来い、ということなのだろうと思い私は真田の隣に座った。何年もこの男の彼女をやっているのだから、何も言わなくてもわかる。ふう、と真田が息を吐いた。これから起こる状況をなんとなく理解はしている。私ももう適齢期なのだから。

「俺は彼女を幸せにしたいと思っています」

プロポーズなんてされてない。いきなりなんだから、何時でも。私が嫌だと思っていたらどうするつもりなのだろう。私が断るわけないと思っているんだろうか。いや、きっと真田のことだから先に両親にだなんて思ってるんだろうな。何時にもまして真田は緊張しているし、私も私でこの状況に落ち着いてはいられない。

「これからの人生を一緒に生きて行きたいと思っています」

父親は険しかった表情を少し緩やかにした。そして私は真田の方を向く。私の視線に気付いたのか真田は私の方を見て微笑んだ。母親はこの光景を見てまたふふふと笑う。父親は「お前の好きなようにしなさい」と私に言い、真田に「よろしく頼む」と一言言った。母親が真田に「夕飯は真田くんも一緒に食べましょう」と言ったので真田と私は買い物に行くことにした。いつもの並木道なのになんだか今日は違って見える。


「驚いたよ、いきなりなんだもん」
「‥すまない」
「いいけどさ、あれ本気?」
「冗談であのようなことを俺が言うと思うか?」
「思わない」

ふふ、と私が笑うと真田も少し笑った。夕飯は私も手伝うから真田の好きな物を作ろう。お酒も買わないとな。

「お前にはまだ言ってなかったな」
「えっ?」
「俺と結婚してくれ」

くすりと笑ってはい、と言うと真田が照れたように微笑んだ。今日からは真田じゃなくて弦一郎って呼ぶことにしないと。

100619

お待たせしてしまったのに変な作品になり申し訳ありません。

リクエストありがとうございました

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