“明日地球が終わるとしたらどうするか”そんなことを何度か真剣に考えたことがある。昔は好きな人と一緒にいるとか友達と過ごすとか色んな考えがあったのに、最近では現実的に考えるようになった。私達はまだ学生で恋人や友達と過ごすなんてことは親が許してくれないだろう。だから地球最後の日は恋人や友達とは過ごせない。結局は家族と過ごして静かに終わるのを待つんだろう。



「お前は俺と過ごしたくないってことかよ」

どうやら私の彼は私の意見が不満なようだった。でも現実的に考えたら私の意見は間違ってはいない。どうしても赤也と一緒にいたくても結局はそれは叶わない願望でしかない。

「そんなこと言ってないでしょ」
「だったら嘘でも俺と過ごすって言えよ」
「現実には叶わないじゃん」

赤也は私に背を向けた。こうなってしまうと機嫌が戻るまで時間がかかる。部屋の中は先程までの騒がしさから一変して静かになった。私は目を綴じた。想像してみる。地球最後の日、テレビをつけても応答がない。電気もガスも止められている。水だって出ない。外では最後の日だからと言ってやりたくても出来なかったことをする人が出てくる。中には罪を犯す人だっているだろう。そんな中で赤也と連絡を取る手段はない。携帯だってきっと使えないだろうから。私は赤也に会いに行く、と言って靴を履く。すると家の中の誰かが泣きながら止めるかも知れない。“地球最後の日は家族で過ごそう、お願い”そう言われると私はきっと靴を脱いでリビングに向かうだろう。赤也に会いたい気持ちを殺して。そして心で思う。

“私達が大人だったら”


「っわ!なんだよいきなり!」
「‥早く大人になりたい」
「はあ?」
「赤也とずっと一緒にいたい」
「‥‥‥」
「好き、」


赤也の腕に抱きついていた私を赤也は自分の胸へとやった。


「俺も好き」


目を綴じる。想像したのは最後の瞬間。きっと最後に思い出すのは貴方。


「#寸止め」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -