運命のひと、とはなんともロマンティックであると自分でも思うし前世からの縁なんてものを実際目の当たりにしている身としては、強ち間違ったものではないのだと思っている。しかしだ、それには前世の記憶などない方がいい。そうとも思う、私の場合それが不可能であるしその点については納得しているのだけれど。
彼と登校している間に感じる他の女生徒からの視線、視線、視線。突き刺さるようなそれに思わず漏れた苦笑に訝しげに視線を向ける愁生になんでもない、と笑って見せる。
「前の時は男の子だから、隣にいても何とも思われなかったのにねって」
「そうだったな。でも、お前はやっぱりこの方が気が楽なんだろ」
「うん、そうみたい」
それでも、彼に果敢に声をかける子はいるものだ。それらの一つ一つに丁重に答える彼を横目で見て私は思うのだ。
だれにでも優しい人に優しくされることなど、なんの優越のもならないのだ。そんなこと、とうの昔から知っている。呼吸にしかすぎず、どうでもいい人間でしかないのだと気づかずに歓喜の声をあげる同い年の少女たちを遠巻きにどこか冷めた気持ちでそれを見ていた。
「あの子たち、そんなことには気づいてないの。とっても幸せね」
「それは、お前も同じだろ」
「……私?」
髪を掬う指先に、特別さなどないのだから質が悪い。
「いつの人生でも、なまえはそうだったろう?気づいてないと思うけど」
「そう、かな?」

だったら、この胸の内でにたりと下品に笑みを浮かべる私はいったい何なのだろう。この指先をこの世でも、その先も私だけのものにしたいなんて低俗な欲求を持ち始めたのはいったいいつからだったろう。ずっと、ずっと。

「愁生、わたしね」

あなたが思ってるような子じゃないよ、



あとがき
ハイパー迷☆走もっと違う話を書く予定だったんだけどなあ、おかしいなあ。
もうちょいこのテーマで突っ込んだ話を書きたいです、はい。


130404
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